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展覧会#6 【マティス 自由なフォルム】
20世紀最大の巨匠の一人
アンリ・マティス
マティス 自由なフォルム
巨匠がニースに遺した切り絵のあざやかな世界
@国立新美術館
2024.2.14〜5.27
マティスといえば、
「フォーヴィスム(野獣派)の中心人物」「色彩の魔術師」
そして、同時期に活躍したピカソに負けずとも劣らず、年代により作風が変化しています。
ピカソとキュビスムについてはこちらで紹介しているので、良かったらご覧ください。
展覧会の内容に関しては、多くの方々が詳しく書いているので、マティス作品の時代ごとの特徴と変遷、展示されていた主な作品を織り交ぜながら備忘録として書いていきます。
アンリ・マティス
1869年12月31日〜1954年11月3日
北フランス ノール県ル・カトー=カンブレジ生まれ
父親の影響で元々は法律を学んで法律事務所で働いていたが、盲腸をこじらせて長期入院した際に母親から暇つぶしにと当てがられた画材で絵画に目覚める。
初期(1869〜1904)
初期の作風は、師匠ギュスターヴ・モローの教えに従い、まだマティスっぽさが出ていなく写実的。
こちらの《読書する女》は、今回は展示されていませんが、前回2023.4.27〜8.20 マティス展で展示されていました。
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ゴッホやモネなど印象派の光の表現技法や、セザンヌの遠近法的空間を無視した画法などの影響を大きく受けています。
その後、点描画で描いた《豪奢、静寂、逸楽》は新印象主義といわれましたが、この画法も言われないとマティスの作品と気づきにくいですね。
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フォーヴィスム(1905〜1908)
この時代の代表的な作品が、顔の中心に緑色の筋を描いた《マティス夫人》。
同じくマティス夫人を描いた《帽子の女》はその年(1905年)の「サロン・ドートンヌ」に出展され、同じ部屋に展示されていたドランやヴラマンクの作品の強烈な色彩に、批評家が「この部屋は野獣(フォーヴ)の檻だ」と呼んだことで、フォーヴィスム(野獣派)と言われるようになりました。
フォーヴィスムはわずか3年ほどの期間にも関わらず、マティスのイメージを強烈に残したと言えますよね。
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キュビスム(1910〜1916)
ピカソやブラックによって先導されたキュビスムは、これまでの西洋絵画の伝統的な常識を破壊し、幾何学的に平面化された形を用いる構成。
同時期ピカソと親交も深いマティスも、もれなくこの道を辿ります。
スペイン南部やモロッコ旅行をきっかけに、イスラム美術の唐草模様やアラベスクなどの装飾図案を取り入れるようになり、壁や敷物、タペストリーなどに多く描かれました。
また、色彩に対する深い造詣で、補色(青とオレンジ色、赤と緑、黄色と紫など)が効果的に使われています。
この時代の主な作品
《赤のアトリエ》《ダンス》《音楽》《金魚》
*こちらの《ダンスⅡ》は今回の展覧会では展示されていません。
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ニース時代(1917〜1930)
地中海を望む南フランスのニースに滞在。
窓のある室内から眺める景色、優美で官能的なオダリスク(ハーレムで奉仕する女性)を数多く描いた。
同じテーマで、何枚も描くのがマティスの特徴でもあり、他の絵画同様に何枚も描いています。
また、ロシアバレエ団の創始者からの依頼で《ナイチンゲールの歌》の衣装と舞台装置を手がけました。
今回の展覧会で、舞台衣装も展示してあります。
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(チケットぴあ HPより)
晩年(〜1954)
ヴァンスのロザリオ礼拝堂の内装と外装のデザインを依頼され手がけます。
今回の展覧会では、礼拝堂の内装が再現されており、見どころです!
晩年は、病気の影響で体力が衰え、アシスタントに指示して塗らせた紙をハサミで切り絵にした作品が中心となります。
鮮やかな色彩と、切り絵ならではのエッジの効いた鋭さ。
晩年の代表作
《花と果実》、《ブルー・ヌード》、《ジャズ》
特に《ブルー・ヌードⅣ》は、亡くなる2年前の82歳の時の作品で、白と青だけで描かれており、Ⅰ〜Ⅳまである内のⅣは、デッサンの跡や切り絵の重ね合った様子も見られる唯一の作品で、息吹を感じられます。
晩年のマティスが辿り着いた精神的境地の深さ!
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マティスは、自身の作品についてこのように言っています。
〜頭の疲れを取る鎮静剤や
身体の疲れを癒す心地良い肘掛け椅子のようである〜
余談ですが
同じフランスの二人の芸術家
『画家 マティス』と『音楽家 ラヴェル』
色彩豊かで、エッジが効いて、緻密に計算され、余白・まとう空気感が似てる
と、好きな二人の芸術家を寄せ気味に解釈してみました。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
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