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漢字の学習:それぞれのやり方でいい、と思う。

 わたしの住んでいる周辺の小学校では、大体漢字の練習はこんな感じです。

1.漢字のドリルをノートに写す。ノートに余白が残らないように、行の最後まで漢字を繰り返し書く。(これが2回)

2.ドリルに直接書き込む。

 異動で他の地域から来られる先生も、もれなくこんな感じなので、このやり方が標準化されているようです。

 まあ、これだけ反復を繰り返せば、ちゃんと定着して、成果を上げられる子ももちろんいるわけですが、あまり喜んでやっているようには見えません。

 わたしが支援員としてクラスで子供たちを見ていると、大方の子は、しぶしぶやっているし、学習としてはむしろマイナスに働いている子も少なからずいます。
(支援クラスでなく、通常のクラスでの話です。)

 そもそも反復練習というのがつまらない。
 ルーティンに耐性のある子ももちろんいます。でも、特に低学年の男の子に多いと思うのですが、何か面白そうなことを毎秒毎分常に探しているようなタイプは、刺激の少ない反復練習というのが、どうしても苦手です。宿題で決められた範囲をやってこないで、先生の机の隣でやらされるとか、早く終わられたいがために乱雑に書いて先生から山ほど赤が入り、やり直しをするはめになるとか、もう、低学年のクラスでは日常茶飯事です。

 反復練習を全否定するわけではないです。見てるだけで完璧に書けるようになるなんてことはないと思います。

 でも、新しい漢字を覚えて書けるようになる、というのは、本来喜びであっていいはずなのに、小学校のしょっぱなから、何なんでしょう、この苦行感…。
 わたしが心底嫌だなあと思うのは、つまらないことを我慢してやるのが勉強、みたいなことが、こんな早いうちから刷り込まれてしまうことです。

 そうなると、楽しんで学習するのはどういうことか、もうわからなくなってしまう。先生から出された課題に渋々取り組むだけで、楽しく覚えるにはどうしたらいいか、ということを子供自身が考えなくなってしまうのでは、と思うのです。

 先生方にお願いしたいのは、

一律の反復練習を課すのはやめてほしい。何回書くか、どう練習するかは、それぞれの子供たちに任せてほしい。

 誰でもそうだと思うのですが、覚えやすい、覚えにくい字があります。どれも全部同じ回数を練習するのは、時間の無駄だし、ナンセンスだと思います。自分で、苦手だなあ、覚えにくいなあと思っている字を、その子が納得いくまで書くほうが理にかなっています。

 ちゃんと書けると思ったら、それ以上はやらなくていいよ。必要以上にやらなくていいよって言ってあげたいです。(それでなくても、子供たちはやることが沢山あります。)

 そして同時に、
反復練習が苦手な子には、どうやったら覚えられるか、子供たちに考えさせてほしい。漢字の成り立ちの情報が助けになる子もいます。もしくは、偏とつくりだけにこだわらず、好きなように漢字を分解して覚えたっていいと思います。

 もし、ここまで読んで、それでも一律の方法を変える気はないという現場の先生がいらっしゃったら、ぜひ一度、ご自分が生徒たちに課している方法で、漢字の練習をやってみてほしいと思います。そして、その効果を試してみてほしいです。

 実はわたしは、漢検の受験を思い立った時に、特に何の考えもなく、小学校の子供たちがやっているような方法で、漢字の勉強を始めたことがあります。(マスのノートまで用意して!)
 でも、3日で飽きました…。書いてる途中で、ゲシュタルト崩壊を起こして、なんだか気持ち悪くなったりして(笑)。それで、ノートに反復練習というのはやめて、そもそもどうやったら自分が覚えやすいか、楽しく続けられるかと試行錯誤しました。(結果、漢和辞書を引いて成り立ちを調べる+スマホのアプリを利用という方法に落ち着きました。)

 わたし自身は、ノートも鉛筆も大好きだけれど、こと漢字練習に関しては、スマホのアプリでゲーム感覚で覚えた方がはるかに効率が良かったし、続きました。

 通信教育などで、タブレット学習があります。こういうツールを使った方が、楽しい、続けられる、というなら、学校の宿題も紙と鉛筆にこだわらず、その子のやりたい他のやり方を認めてあげてほしいと思います。

 高校生の時のイチローと、同じくらい才能があって、同じかそれ以上にバッティング練習を繰り返した高校生は、たぶん当時大勢いたでしょう。では、どうしてイチローになれなかったか。
 それは、どれだけ主体的に取り組んだか、の違いのようにわたしには思えます。
 イチローは、監督やコーチに言われたことを言われるがままにやって、超一流の選手になれた、とは思えません。

 自分でやり方を決めるのは、主体的に取り組むことの第一歩だと思います。

 7、8才の子供では自分のやり方を決められないというのは、子供のことをあまりにも見くびり過ぎです。
 先生が、こういうやり方があるよ、というのを提示するのはいいと思います。でもそこから先は子供たちに決めさせてほしいのです。



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