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オズビック鳥 〜読書の記録〜

今回は絵本です。

オズビック鳥
エドワード・ゴーリー 作  柴田元幸 訳
河出書房新社 2022年

〜あらすじ〜
山から降りてきたオズビック鳥は、エムブラス・フィングビー氏の山高帽にとまる。
オズビック鳥とフィングビー氏は、木のてっぺんでお茶を楽しんだり、一緒に遠出したり、カードゲームで喧嘩をして1週間も口をきかなくなったり。
二人の暮らしは続き、やがて別れの時がやってくる。
フィングビー氏の墓にとまっていたオズビック鳥は飛び去っていく。

モノクロの線画が描き出す、一人と一羽の淡々とした暮らし。
そこに流れる友情、あるいは親密さが、一人の死とともに消えていく。
韻を踏む二行詩は、絵に溶け込んで、まるで装飾のようだ。

ゴーリーという作家を初めて知った。
たまたま手にした本だったから、選んだ私にも意図はない。
最初は、何を言いたいのかよくわからなかった。
わからないけれど、寂しかった。
何度か見返して、わざわざ「言いたいこと」を探さなくてもいいと思った。
考えなくてもいい、感じればいい本。

フラミンゴのように脚が長くて、ちょっとハシビロコウにも似ているような。
特に表情が変わるわけでもないのに、感情が伝わってくるヘンな鳥。
同居人の墓から飛び立つ最後のシーンに「薄情者!」と思う一方、
「こんなものなのかも……」と妙に納得してしまった。

不思議な印象を残してくれる、キラッとした本だった。

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