とっておきのひみつ


……心残りがあるとするならボスのことだ。僕たちはまだボスのために何もしていない。借りた恩を返さないままだ。ボスのおかげで大事な人に出逢って愛することができた。それでもう、僕たちの命はどうなったって構わないけれど、ボスのことだけは…。
ボスの命を狙う者があるなら、喜んで盾になろう。ボスが僕たちに望むことは何だ?ボスは何も望んでくれない。僕たちが「僕たちにできることを全うする」こと以外何も求めてはくれない。一番難しい要求だ。勝手なことをしても受け取ってくれないんだ。命に代えるなんてことしても、
「命を落とさないなら守ってもいい」
と言うのがボスだ。
「ぼくを守ることで、おまえたちが生きられるなら、そうすればいい」
と言うんだよ。そうでなければ、許さないと言うんだ。勝手に犠牲になったって、感謝されるはずもない。それで恩返しになるはずもない。
ボスは美しい。ボスだからそれでいい。
「おまえたちの愛する人のためにできることだけをしろ」
と言う。僕たちの愛する人が喜ぶことは、僕たちがボスの役に立つことだ。

ボスはボスの愛する人に、「元気じゃなくてもいいよ」と言う。「死にたくてもいいよ」と言う。
泣いていれば「かわいいね」と言う。怒っていても「かわいいね」と言う。
「ぼくだからゆるして」と言う。ボスはゆるされる。ボスだから。

それが僕たちのボスだ。
ボスはずるい。そりゃ、ボスだからね。


愛がなんだか知ってる?
僕たちが君からもらったこの名前はきっと、間違いなく愛だよ。

命令を下さい。僕たちは、あなたに捧げるために名を持った。


(ボスってガラでもないけど。ま、呼び方はなんでもいいや)



恐れ入ります。「まだない」です。 ここまで読んでくださって、ありがとうございます。 サポート、ありがとうございます。本当に嬉しいです。 続けてゆくことがお返しの意味になれば、と思います。 わたしのnoteを開いてくれてありがとう。 また見てもらえるよう、がんばります。