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距離感


彼は口下手だった。


彼からの言葉は、思考を重ねすぎた結果か、考えることが面倒なのか、いつも宙ぶらりんだった。


彼の真意を探る時は、少しズレた意見を用意する。


王道を辿りながら、最後にそっと道を外す。


そうすると彼の口からうっかり無垢な言葉がでてくる。


彼は決まりが悪そうな顔をした。


貴方の本当は愛しいよ。


という言葉は飲み込み、私も外方を向くのだった。

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