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ローをふんだんに利用した合格体験記(3L秋学期雑感)


はじめに

 私事ながら、この度令和5年司法試験に合格いたしました。私が想定より早く司法試験に合格したのは、ロースクールの先生方の手厚い指導や、支援体制があったからこそだと思っています。
 そこで、この記事では、私がロースクールの制度や設備をどのように利用して在学中合格までこぎつけたかを、大きく3つのポイントに絞って記録します。特に来年以降の受験を検討している弊学の方や、弊学への入学を検討されている方は、参考になりますと幸いです。
 もっとも、よくSNSで注意喚起がなされる通り、これは一合格者が実践した勉強法に過ぎないため、あくまでも今後の勉強の参考程度に読み流してください(実際、先生も「現状であれを真似するのは難しい」と言っているようなので…)。

入学前の学習状況

 まず、参考までに私がロースクールに入学する前の学習状況をお伝えしておきます。
 私は2022年度前期入試を経て既修コースに入学しましたが、その際の得点は以下の通りです。
 憲法:69点
 民法:61点
 刑法:83点 ※ヤマが当たっただけ
 民訴:29点(50点満点)
 刑訴:14点(50点満点)※足切り
 ・・・と、合格最低点+10点あたりの、お世辞にもいいとは言えない成績でした。

 そして、受験していない行政法と商法、足切りになった刑訴については、入学前に履修免除試験を受験しましたが、いずれも不合格。ゆえに、私にはこの3科目についてまず未修向けの講義を受講する義務が発生しました。
 入学当初の私が、いかに望み薄な状態だったかがお分かりいただけたかと存じます。
 では、このような状況をどのように脱却したか、以下で説明していきます。

利用ポイント①:授業

 先述のような結果を見て、私は「最初からまじめにやりなさいということか」と思いました。一応法学部の出身で、卒業単位は取得できたものの、サークルに明け暮れていたためおよそ真面目とは言えない学生生活を送っていました。成績も平均以下でした。先述の結果は、それを如実に示したものであって、それに対して私は何の文句も言えた立場ではありませんでした。
 そこで、未修向け講義も学びなおしのいい機会だととらえて、まずは授業の内容をしっかり理解するところから始めることにしました。

 予習と復習の比重については、様々な意見がありますが、私は復習に割く労力を増やしたかったため、予習は空きコマで終わらせるようにしていました。私は予習をやりすぎるとそこで該当分野の内容に飽きてしまい、授業内容の復習をまじめにやらないのが明白だったので、そのような人は予習はそのぐらい手薄な方がちょうどいいように思います。
 その代わり、授業は一言一句聞き逃さないぐらいの気概を持って臨みました。退路があると甘えてしまうので、録音は一切しませんでした。授業が終わったら自分のメモをざっと見返して、よく読んでいなかったところや読み切れなかったところをその日のうちに消化するようにしていました。
 ここで、意外と役に立つのが「他人のソクラテスを聞く」ことです。詰まってしまっている人が、どうして詰まっているかについて思いをはせると、間違えやすいポイントや紛らわしいポイントを洗い出すことができます。また、逆にうまいことまとめている人がいたら、その表現をその後の論証などでパk…利用することもできます。

利用ポイント②:図書室

 予習には基本的に、先生が科目ごとで指定している基本書を使用していました。しかし、手元にある基本書は、判例百選を除くとあまり多くありません。予習はほとんど図書室の書籍を使って済ませ、本当に必要そうなものだけ購入しているからです。
 このような予習スタイルになった背景には、学部の経験があります。学部時には、指定教科書はすべて生協価格で購入していたのですが、先述した通りおよそ真面目な学生ではなかったのと、手元に本がある安心感で満足してしまったため、ほとんど読まないまま処分することがほとんどでした。あまりにもったいないし、本にも失礼な態度だなと今では思います。
 ゆえに、「いつでも勉強できるわけではない」という切迫感を持って勉強するために、あえて基本書は買わず、禁帯出の書籍を図書館が閉まるまでに確認するというスタイルを採用しました。図書館の禁帯出書籍は他の人も使うので、だらだら使うわけにはいかず、結果として予習を効率化できたと思います。内容が難しいなど、どうしても長時間使わないといけない書籍がある場合は、迷惑をかけるわけにもいかないので購入していました。

 このスタイルを採用すると、図書館の閉室時間以降に学校にいる理由がほとんどなくなってしまうため、登校時間と下校時間が一定になります。私の場合、朝8時~夜10時はロースクールにいて、それ以外は勉強しない、というサイクルになりました。こうすると、睡眠時間を一定以上確保できますし、勉強時間とそれ以外の時間にメリハリができるので、おすすめです。

利用ポイント③:学習指導など

 先生方の学習指導やOB・OGが担当するAAゼミにおける答案指導は、私の合格に最も寄与したと言っても過言ではありません。
 2L春学期終了時点で、学んだ内容をどう答案で表現するかがあんまりつかめていないことに加え、下4法についてはほとんど答案を書いたことがないことに気づき、演習量をもっと増やすために、使える答案指導は可能な限り利用することにしました。
 そこで、2L秋学期には、授業の任意レポートを週3通、AAゼミの起案を週1通+不定期に計10通程度、学習指導の起案を不定期で計6通提出することにしました。週で最大6通の提出になります。答案指導で扱う問題が司法試験ばかりではないとはいえ、なかなかハードでしたが、これを15週分きっちりこなし、先生方の指導を受けることで、自信をつけることができました。また、授業の任意レポートについては授業で扱った事例問題を起案するので、授業の復習にもなりました。
 私は上記のようなスケジュールで定期的に先生方から答案指導を受けていたので、ローに入ってからは自主ゼミを組んでいません。一度参加してみたことはあるのですが、あまり自分には合いませんでした。同級生と検討するより、一人で検討して先生の所にもっていき、先生としゃべって答え合わせと理解確認をする方が私には合っていました。

結果と振り返り

 上記のポイントをおさえて勉強をし続けた結果、在学中受験の要件を満たすことができただけでなく、奨学金の継続要件をクリアできる程度の好成績を残すことができました。
 また、京大科目の民事法文書作成で優秀起案に選んでいただいたり、TKC模試で合格圏内に入ったりしたことで、実力が上がっていることを実感することができ、自信をもって当日の試験に臨むことができました(試験当日の様子については前記事参照)。
 そして、冒頭に申し上げた通り、今年の司法試験に無事合格いたしました。成績は、短答2255位、論文301位、総合428位でした。やったね!
 短答は過去問をかなりの回数解いていたのですが、一元化教材を用意していなかったこともあり合格者平均を割ってしまいました。論文の順位を短答で結構下げてしまったのが悔やまれるところですが、論文は全科目6割程度でオールAだったので、想定以上に良い結果で終わることができました。これで就活が楽になればいいんですが……。

おわりに

 この記事では、ローの制度をここぞとばかりに利用して、予備校・自主ゼミを使わずに合格した経緯をお伝えしました。
 一つ注意していただきたいのは、これをそのまま真似することはかなりリスキーであるということです。今振り返っても、明らかに1年に詰め込めないはずの勉強量を無理やり詰め込んでしまっています。
 実際、3L春休みから6月ぐらいまで、持病の睡眠障害やうつ病が悪化した上、飲んでいた睡眠導入剤で重めの副作用に見舞われるなど、勉強どころか授業の出席すら怪しい状態になっていました。先生方にも、「ドクターストップの一歩手前を常に走っている感じだった」と言われる始末です。およそ健全な受験生活ではないので、よいこの皆さんは真似をしないで、エッセンスだけうまいこと抜き取ってください。

 来年受験をされる方々は、これから勉強計画の見直しや、過去問演習などに取り組まれることかと思います。
 その際は、ぜひ勉強計画について、第三者からの視点を取り入れてみてください。一人で勉強していると、自分のキャパを過大(過小)評価した計画を作ってしまいがちです。来年に向けてギアを上げていきたい!という人は、ローの支援制度を使える人はローの先生に、そうでない人も自主ゼミのメンバーや予備校の先生に、一度相談されることを強くおすすめします。特に在学中受験をする方の場合、この先あまり勉強計画の大幅な変更をする余裕はありません。無理なスケジュールを敢行してぶっつぶれるより、少し時間をかけてでも無理なくこなせるスケジュールを作りましょう。

 長くなりましたが、何かしら参考になるものが提供できていたら幸いです。質問箱やDMを開放しておりますので、相談や質問があればお気軽にお声がけください。
 最後までお読みいただきありがとうございました。来年以降受験される方の合格を、切にお祈りしております。


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