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ポケモンと紋々

調子にのった学生がハメを外して大はしゃぎし、結果手痛い目にあって社会の洗礼を浴びるのはよくある事で、その日も僕は友人A.Bと近所の居酒屋で調子に乗り出し、他のお客さん達の迷惑も考えず店内で大騒ぎしていた(今こんなガキ共が隣の机にいれば心底腹が立つだろうと思う。)

するといつの間にかビール瓶を持った見知らぬオジサマが横に座っており
「ニイチャン達、楽しそうやな」
と僕のグラスにビールを灌いでくれた。
オジサマは見るからに「その道を極めている人」いや「極めた道の人。略して◯◯」といった風貌とオーラを放っており、僕は瞬時に「僕達が大騒ぎしすぎた為にこちらの紳士がたしなめにいらっしゃった」と縮こまったが、むしろとても愉快で気前良く、理由あって1人で呑んでいたが、僕達があまりに楽しそうなので一緒に呑もうとの事だった。

あっと言う間にオジサマと打ち解けた僕達は色々な話をしてもらった。
そのうち話はいつの間にか刺青の話になり、オジサマが目を細めて「ワシも紋々好きやからなあ」と呟いた。

その瞬間、今まで完全に酔い潰れ地蔵化していたAがガバっと起き上がり

「えぇ!?本当ですかあ!?」
と叫んだ。

僕と友人Bはいきなりの事でメンを食らい、あまりに嬉しそうにオジサマに質問をしだすAをしばらく黙って見ていた。

実はAは酔い潰れていた事もあり、刺青の意味の「紋々(もんもん)と「ポケモン」とを聞き間違えていたらしい。
こんな極めた道の風貌のオジサマが「ポケモンが好き??」→「えぇ!?本当ですかあ!?」という事だった。

ここからAとオジサマとの恐怖のやり取りが始まるのだが、それは次回に続く。



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