両端を広げ中央を上げる:受託開発の高付加価値化
こんにちは。エム・エー・ディー代表の高橋守です。
今回は、当社が取り組む受託開発の高付加価値化についてお伝えします。
1. スマイルカーブ理論と受託開発
スマイルカーブ理論の基本
スマイルカーブ理論は、付加価値が初期段階と最終段階で高く、中間段階で低くなるという産業機器分野を中心とした製造業の付加価値構造を示します。当社では、この理論を受託開発に応用しています。
受託開発における付加価値の分布
受託開発プロジェクトでは、要件定義、設計、開発、テスト、リリース、運用、拡張開発などの各工程があります。これらをスマイルカーブ理論に当てはめると、初期の要件定義や継続的な拡張開発の段階で高い付加価値が生まれるのに対し、開発やテストのように標準化される中間工程では付加価値が比較的低くなりがちです。
理論の実践的意義
スマイルカーブ理論を受託開発業界に適用することで、どの工程に焦点を当てれば効果的に付加価値を高められるかが見えてきます。例えば、上流工程や下流工程のサービスを強化し、中間工程の付加価値を高めることで、全体のプロジェクトの付加価値を高めることが可能となるのです。
上流・下流のさらなる付加価値の創出
さらに当社では、受託開発に係るプロジェクトの超上流段階(デジタル戦略立案、システム化計画、RFP支援)から超下流(デジタルマーケティング支援、グロース支援、M&Aアドバイザリー)までのサービスを提供しています(下図①)。プロジェクトの幅を広げることで付加価値を最大化し、クライアントに対して総合的なソリューションを提供できるのです。
中間工程の付加価値の向上
一方で開発の中間工程はどうかというと、①効率的なプロセス導入(アジャイル開発、DevOps)、②最新技術の活用、③品質保証の強化(自動テスト、コードレビュー)、④DX人材育成プログラムを通じた開発者の育成に力を入れています(下図②)。これらの施策を効率的に組み合わせることで、生産性向上・品質確保、顧客満足度の高い製品開発を実現しています。特に当社の人材育成プログラムは、技術者が最新のデジタル技術を習得し、市場の変化に迅速に対応できるようなノウハウの集大成となっています。
2. 一貫生産体制の定義と重要性
一貫生産体制というのは、プロジェクトの初期段階から最終段階まで、全ての工程を内部で一貫して管理しよう、というアプローチです。当社ではこの取組も採り入れることで、品質管理の向上や効率的なプロジェクト管理、コミュニケーションの効率化、顧客ニーズへの深い理解、柔軟な変更管理、長期的な顧客関係の構築、市場への迅速な対応を実現し、競争力を高めています。この一貫生産体制は、受託開発業界における多重請負構造の問題点※の解決に大きな役割を果たしています。
3. スマイルカーブ理論と一貫生産体制の統合
当社の一貫生産体制は、多重請負構造の問題点を解決するための基盤となっており、超上流から超下流までの各工程がシームレスに連携することで、効率的で一貫したプロジェクト管理を実現しています。これにより、当社は単なる受託開発会社という枠を超え、「クライアントのビジネスの成功に深く関与する戦略的パートナー」として良い意味での変貌を遂げてきました。
このように、スマイルカーブ理論と一貫生産体制の統合により、当社は受託開発業界において、より大きな付加価値を提供し、クライアントの成功に貢献しています。このアプローチは、業界に新たなビジネスモデルの可能性を示し、持続可能な競争優位を確立するための重要な取り組みなのです。
4. プロジェクトマネジメントとプロダクトマネジメントの統合
プロジェクトマネジメントとプロダクトマネジメント
プロジェクトマネジメントは、プロダクトの一部または全体を開発するための具体的な取り組み(プロジェクト)を管理する過程です。一方でプロダクトマネジメントは、その製品の全体的なビジョンと戦略を定義し、長期的な成功を目指します。両者は相互に関連しており、プロジェクトマネジメントはプロダクトマネジメントの戦略を実現するための手段の一つと言えます。
当社のアプローチ
当社の一貫生産体制は、超上流から超下流までの工程を包括している事は既に述べましたが、「プロダクトマネジメントの原則」の実践も心がけています。これにより、単に技術的な開発業務を提供するだけでなく、クライアントに戦略的なビジョンや戦略の立案・提案機能を有するまでになりました。プロダクトの全体像を把握し、実施に至る開発工程を可視化することは、クライアントのビジネス成果に大きく貢献するのです。
5. まとめ
一貫生産体制とプロダクトマネジメントの重要性
一貫生産体制とプロダクトマネジメントの統合は、受託開発業界における競争優位性と持続可能性を確保する鍵です。これにより、当社は単なる開発会社から戦略的なパートナーへと変貌を遂げています。
この取り組みは、受託開発業界に新たなビジネスモデルと可能性を示していると自負しています。今後も業界全体の革新と進化に寄与できるよう、成長していきたいと思っています。
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