女子プロ新時代と上谷沙弥
「最近、プロレス流行ってますもんね」
最近もこの一言をよく聞く。
大概は僕がプロレス好きとわかったときに投げかけられる一言だ。
そして、多くの場合それは男子プロレスを指している。
直近本当にプロレスに勢いがあったのは、2020年。
時はコロナ直前で、業界の盟主である新日本プロレスが伝統の「1.4」
に加えて「1.5」に踏み切り、両日累計7万人以上を動員した。
さして興味が無い人にそのブーム感が伝わるのは、やっぱり一拍経ったタイミングだ。それはプロレスに限らずどのジャンルもそうだろう。
プロレスもそう。
イケメン、肉体美が推しポイントになって牽引した盛り上がりが、やっと今”なんとなく”伝わってきたのだろう。
現実にはその牽引者の棚橋弘至は社長になり、オカダ・カズチカはAEWに。
この事実すら、きっと一般層は知らないだろう。
余談だが、プロレス界のためにもオカダ・カズチカはWWEに行くべきだった。何となく知られてるオカダ・カズチカと、何となく知られてるWWEの組み合わせなら、ワンチャンTVでも取り上げやすいし、大谷翔平、井上尚弥同様世界トップクラスで闘う日本人として一気にプロレスラーのバリューを上げられた可能性があるのに!AEWじゃプロレス村の域は出ないんだよ。。
残念!武藤さんが引退して、一般の人が知ってる現役レスラーは桜庭さん位というのが現実です。
話は戻って、そういった意味では「最近、女子プロレス流行ってるよね」とは、残念ながらまだ誰からも言われていない。
じゃあ女子プロレスはまだまだなのか?
否、少しずつ確かに盛り上がってきている。
女子プロレスに本格的にハマってから5年目に突入した、まだまだ新参な僕が言っても説得力は無いけど、確実にキテる。
じゃあその流れはどこから?
まずは女子プロの歴史をダイジェストで。
1970年代は「ビューティーペア」
女子が熱狂する、元祖アイドルレスラーとして歌も大ヒット。
1980年代は全女の時代。
その象徴は「クラッシュギャルズVS極悪同盟」のベビーフェイスとヒールの勧善懲悪プロレス。
長与千種VSダンプ松本の「伝説の髪切りマッチ」では、女子中高生の悲鳴と罵声が会場中に鳴り響いたとさ。
ここまでファンの中心は女子。
女子が憧れ、感情移入する宝塚的な人気を博していた。
1990年代はクラッシュギャルズは解散し、ダンプ松本も引退。
この冬の時代を支えたのは、そのダンプの弟子であるブル中野とその後輩アジャコング。ヒール同士の感情がぶつかり合う激しさが全面に出たド迫力バトル。(この頃アジャは、男子プロレス団体ユニバーサルに参戦して、そこから少しずつ男子ファンも会場に連れて来ていた。)
そして全女一強時代に牙を向く、他団体参戦の「対抗戦時代」に突入。
団体同士のプライドのぶつかり合い、そして初めて見る新鮮なカード連発で盛り上がりは最高潮に!
前述した、ブル中野、アジャコングに加えて、
北斗昌、神取忍、豊田真奈美、ダイナマイト関西、井上貴子etc
新たなスターを生み出した女子プロオールスター対抗戦。
しかし、その功罪としてそれぞれの単一団体での興行は徐々に下火に。
対抗戦が盛り上がり過ぎたことで、物足りなくなっていったのだ。
そしてここから、本格的な冬の時代に。
全女後期にデビューした、中西百重、高橋奈苗(当時)、センダイガールズの里村明衣子、アルシオンの浜田文子など、現在40代のレスラーはその実力に見合った人気を得られなかった。(もちろんプロレス界での人気はあった)
事実、プロレス界のアワードの代表格である、
「東京スポーツ認定のプロレス大賞」において
2004年から5年間は女子プロレス大賞は「該当者なし」が続くことに。
ある種の専門誌においても、残念な状態になってしまう。
そして、時は流れて2011年今の女子プロブームを牽引することになる「スターダム」が爆誕!!
前年プロレスデビューした、グラビアアイドルの愛川ゆず季をエースに、
前述した高橋奈苗、そして新人を加えた少人数で団体を旗揚げ。
実力差があり過ぎる選手構成の中、
愛川の必死の努力もあり団体は徐々に存在感を高めていき、
今に繋がる「華」と「可愛さ」も重要な、現代女子プロレスの礎を築くことに。
ここでまた余談を一つ。
愛川ゆず季はゆずぽんの愛称でグラビアイドルとしても活躍(僕も普通に好き)していたが、プロレスラーとしてのポジションはその遥か上。
誇張なしでプロレス新時代を象徴する存在として、間違いなく女子プロレスの救世主であった。キャリアも全然違う高橋奈苗に感情むき出しに立ち向かう姿勢、強力なキックを武器に実力でポジションをもぎ取った。
努力に努力を重ねて、うるさ型のプロレスファンを圧倒したのだ。
2011年、12年と女子プロレス大賞を受賞。
そんなスターダムは紫雷イオ、宝城カイリ、岩谷麻優と人気選手を次々と輩出していった。(イオもカイリも現在はWWEの女子部門の主要選手として大活躍中。)
そして2024年現在。
女子プロレス界はスターダム一強。
女子プロレス大賞も2019年から昨年まで5年連続でスターダムの選手が連続受賞。それも毎年違う選手が受賞。
マルチスターシステムが機能し、1人のスター選手に頼らない層の厚さを誇り、カードも毎回厚みがある。
昨年最大のビッグマッチ、横浜アリーナ公演ではスターダム史上最大の5,000以上を動員!確実に動員を増やしていた。
※昨年の夏以降、過密スケジュールによる選手の負傷離脱、運営帯体制への不満が噴出し、若干動員に限りが。。。
そんな中、スターダムの創始者であるロッシー小川がスターダムを退団。
それに呼応するかのように何人かの主力選手も退団。
新団体設立も噂される中、残されたスターダムの次の一手にも注目。
そして、そのスターダムを媒介する形で他団体の好選手にも注目が集まるように。元スターダムで現マーベラスの彩羽匠。センダイガールズのエース”怪物”橋本千紘。ディアナの若きエース梅崎遥。他にも実力者の優宇、世羅りさ、高瀬みゆきなど。
更に、元ディアナでWWEから戻ってきたフリーの大物Sareeeなど。
新たな展開に期待が高まる女子プロレス。
そんな女子プロレスがなぜ人気なのか?
そして、上谷沙弥とはどんな選手なのか?
長くなってきたので、これについては次のnoteで!