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三日坊主日記 vol.173 『テレビ番組の作り方』

ある人からテレビ番組を作りたいという相談を受けた。


なんで僕なの?って感じなんだけど、僕に何か可能性を感じたのか、僕しか手掛かりがなかったのか、とにかく会って話を伺った。何を隠そう(隠す必要なないんだけど)、元々僕はテレビのバラエティ番組が作りたくてこの業界に入った。もう40年ほど前の大昔の話だ。


当時MBS(毎日放送)で、ラジオ番組をそのままテレビにしたような新しくて自由でゆるい番組が出現していた。局のアナウンサーと若手のタレントが少数のスタッフを引き連れて街を練り歩き市井の人と触れ合ったり、視聴者をセットも何もないスタジオに引き入れパイプ椅子か何なら床に座らせてどうでもいい話をするだけの番組だったり。今では当たり前のその手法も、当時は斬新でとても面白く感じられた。見ていてももちろん面白いんだけど、この番組を作る人たちはどれだけ楽しいんだろう、と羨ましく思った。


将来に向けて何の夢もヴィジョンも持っていなかった当時の僕はこの職業に憧れ、業界を目指したのだ。残念ながら放送局には入れなかったが、ラッキーなことにテレビ番組の制作会社に潜り込むことができた。あの頃にあの番組を見てなかったら。あの番組を見ても、作り手が楽しそうだと思わなかったら。今頃僕は何をしているんだろう。そう考えると人生はとても不思議だし、とてもスリリングで危ういとも言える。


さて、テレビ番組の件。いくら元々テレビ番組を作りたかった人間だとはいえ、CM業界に移ってからもう既に35年以上経つ。かの業界もいろんな事情も変わっているだろうし、そっち方面に知り合いも多くはいない。


さて、どこから手をつけるか。幸いその人がやりたい番組はそんなに複雑な構成を必要としないし、僕も意外と嫌いじゃない方向の内容だ。できる範囲で手伝ってもいいし、その筋の方に繋いであげるだけでもいい。とにかくちょっと動いてみよう。せっかく僕を頼ってくれたんだからね。



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