健康は歯から③

パート①.②をまだ読んでいない方は是非最初から読んでもらえると助かります。
リンク貼っておきますね。



外傷、頭痛、腹痛、身体的痛みというのは様々あるが“歯の痛み”というのはとても耐え難く屈強な精神力を持っていても異質。
結果、根本的に対処するには医者に頼るしかない。

論理的に自分を説得し続ける。

具体的に虫歯の治療とはどういうものなのか素人の自分には想像もできず、嫌悪感から調べることもできない。
とにかく深く考えず前に進むしかない。

世界で初めて歯の治療をするわけではない、何千何万の人間が経験した事象を自分がただなぞるだけ。
歯医者で死ぬ人などゼロに等しい。
人との会話で歯医者が話題に上がることもそう多くない、話すに値しないレベルの当たり前の経験なんだろう。

あれこれ考えているとまもなく予約の時間。
無心にもなんとか目的のN歯科クリニックの前に到着していたのだった。


「....行くか」


決心の扉を潜り抜け受付で予約の有無を告げる。
初心のカルテを書く。

Q.今回はどうされましたか
A.奥歯の虫歯がすごく痛いです。

Q.何時ごろから
A.みっかまえくらい

Q当院をお選びいただいた理由は
A.雰囲気が良さそうだったから


できることなら一生問診票を書いていたい。
これを提出すればまもなく閻魔大王からお呼びがかかる。
寸分の躊躇はあったがやむなく提出。

閻魔大王様。
どうか優しい対処をお願いします。
無痛天国でお願いします。
私はなにも悪いことはしていません。
歯磨きだってしていました。
基本、人には優しく生きています。
基本落とし物は届けます。
猫を見つけたら基本ニコって微笑みかけます。
正直に話すと、自販機から故障でお釣りが多く出てきた時は横領しました。
思い返してもそれくらいしか悪行はありません。
サントリーさんのこだわり酒場もボランティアで宣伝しております。
サントリーさんがこれを知ればきっと喜んでくれるはずです。
どうかお願いします。
無痛。
無痛でお願いします。






.......。





待ち時間がなげえ!!!!!!!
もう40分ぐらい経つけど!?!?!?!?





俺は執行を何十年も待つ死刑囚ですか?????????









歯科助手「けんけん酒場さーーん」








俺「ヒッッ!!!!!」


とうとう執行の時ですか。



先生「はいこんにちは〜」


俺「ア、お願いシマス....ヘヘッ...」


先生「じゃ、そこの診察台にかけてね」





......なるほど、
自ら処刑台に上がれということですか。





2時間後にはきっと俺は天国で笑ってらぁ....


目を閉じ覚悟を決めた様子で、暴れることなく静かに処刑台につく。



先生「はいよろしくね。今日は...虫歯かな?」





俺「はいそうです右奥歯が虫歯っぽくて3.4日前から痛み出してそれも壮絶な痛みで我慢ができずに痛み止めを飲んでなんとかここまで凌いでいました。もともと虫歯だろうなということはわかってはいたのですが放置してしまっていまして、というのも言いづらいのですが、自分は人の何倍も歯医者が苦手な体質でして特に昔何かひどいことがあったというわけではないんですけどまぁ昔ってどこの歯医者も無痛っていうわけではなかったじゃないですか?当時の僕はまだ若くてですね、その頃歯医者さんにとても強く感じた恐怖心が今も残っていまして。正直本気で来るか迷ったんですけどこちらの歯医者さんがとても親身で素晴らしい天国だという噂を聞きまして、神に縋る思いでなんとか這いずってきてみたという感じです。はい。本当は今こうしてる間にも本気で走って逃げ出したいなと思っています。すみません。ハハっ。裏口は何処かな???」



先生「あ....ナルホド...ね、ハハっ」



俺「はい...」




先生「いや....。勇気を出してよくきてくれたね。先生も最善を尽くして頑張るからさ」








俺「せ、先生ィ......///」







俺の気持ちは完全に嵐の「Love so sweet」のイントロだった。
最初の20秒だけ聞いて欲しい





先生「じゃあ早速、歯を見せてね。」




俺「アーーン(先生...頼みましたよ...)」






先生「oh....」




俺は目を瞑り、涙を浮かべる




先生「これは痛かったね....。まだ若いのに可哀想に......とりあえず今日はできることが限られてるから応急処置からだね。」




説明を聞くと、虫歯はだいぶ進行しており、歯を残せるか抜くかの判断もすぐにはできない状況との事。今は腫れが酷く治療を進められないからこの腫れをなんとかするところからだというのだ。
ちなみに後日の治療で歯は残せることとなる。ハピハピ♫








先生「じゃあちょっと触らせてもらうね」


先生「ここは痛い?」




俺「ヤ.....」





先生「....ここは?痛い?」






俺「イッッダァァァァァイッッッッ!!!!!!!!!!!!!!!くぁwせdrftgyふじこlp」




先生「あ〜やっぱここの歯だね〜」






俺「シテ.....コロシテ.....」






先生「じゃあちょっと処置していくね」





先生「少し頑張ろうね」





歯医者で1番聞きたくない言葉ランキング1位である。
ちなみに逆に言われて嬉しい言葉は“じゃあ一旦うがいしてね”である。





結果的に腫れを引かせるため、歯の膿などを排出しやすくし、次回の治療へと繋げていくような流れとなった。
この日は新たに痛み止めを出してもらい1時間ほどの治療で終了となった。




いざ治療が始まってみるとあれだけ奮闘していたのにも関わらずあっけのないものだった。



肝心の治療はというと、自分が思っていたほどの痛みはほとんどなく、初めて心を開いたこの先生に全ての運命を捧げようと決めることとなった。





先生「でも結構遠いところから来てるよね?腕のいい歯医者さんも今は沢山あるし歯医者は家から近いに越したことはないよ〜?笑」





俺「ヤダヤダ!!!なんでそんなこと言うの!!!!!先生じゃなきゃダメなの!!!!!!!」








先生のいぢわる。。。






この先も治療は続いていくが、
もう俺は過去の自分とは違う。
新たな自分へと変わり、この歯医者と共に未来を創るのだ。




ありがとうN歯科クリニック





N先生これからもよろしくお願いします。。









長々とパート1から読んでいただいた皆様、本当にありがとうございました。
皆さんが沢山反応をくれたおかげでここまで描き切ることが出来ました。

歯医者というのは行かなければ行かないほど状況を悪くしていくものです。

まさしく【健康は歯から】

自分だけでなく、身の回りの大切な人たちの中にもきっと歯医者嫌いは潜んでいるはずです。


放置すればするほど自分の首を絞めていくのだとしっかりと説得してあげてください。




一応エンディングに「拝啓少年よ」を貼っておきます。
是非この話をセルフで回想しながら聞いてください


このノートでは今後も気が向いた時に書きたいことを書いていこうと思っています。
気が向いた時にたまに見にきてください。


ではまた。




   【健康は歯から】
       〜完〜

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