消費者の買い物行動を把握する新サービスのご紹介~都内最大規模の「模擬店舗」と「視線データの定量分析サービス」~
こんにちは。マクロミル広報の有吉です。
2021年3月30日、都内最大規模の広さを誇る「模擬店舗」のオープンと、この模擬店舗で実施できる「視線データの定量分析サービス」についてプレスリリースを発表しました。
このサービスの開発の裏側やサービスの魅力、具体的な内容について、開発責任者のインタビューや、調査シーンの画像も用いながらご紹介します!
模擬店舗とは?
スーパーやコンビニエンスストア、ドラッグストアなど様々な業態に対応することができ、実際の店舗に近い環境を再現したもので、消費者が実際に店舗を回遊する状態の再現が可能です。
日用消費財メーカーを中心に、実店舗での消費者の買い物行動の把握を正確に理解することが求められていますが、従来の調査手法では商品陳列状況の再現性が低く、1棚だけの商品陳列であることが多いため、実際の買い物行動時とは異なる見方をされるなどの課題がありました(下図)。
「模擬店舗」はそれらの課題をクリアし、実店舗における販売状況と近い環境下で消費者の実際に近い買い物行動を調査することができます。
視線データの定量分析とは?
模擬店舗の商品棚に設置した定点カメラによって視線の動きを捉え、視認率や視認時間、視認回数などから消費者の視線を定量的に把握することができるサービスです。商品棚で何を見ていたかをアンケートやインタビューで正確に把握することはできませんが、視線データを用いることで無意識の行動を顕在化。加えて、視線動画をもとにインタビューを行うことで、消費者の心理的背景を掘り下げ、分析結果の価値を高めることできます。
視線データの定量分析サービスについて詳細はこちら
サービス開発ヒストリー
サービス開発責任者の中田一隆さんに開発背景やサービスの魅力を伺いました。
―― 開発に至った経緯を教えてください。
現在、日用消費財メーカー様を中心に発売前やリニューアル商品の商品力調査を多く実施いただいていますが、残念ながら調査結果の精度が低く、多くのお客様から精度向上のご要望の声があがっていました。
調査結果の精度は、商品開発の精度、強いては売上に直結する問題ですので、非常に大きな業界課題です。精度が低い要因は様々ありますが、大きくは2つの要因があると考えています。
1つは、調査環境では普段の買い物行動が再現されていないことです。これは店頭再現性の高い模擬店舗の構築により解決することができます。そしてもう1つは、買い物行動は非常に短期記憶かつ直感的な要素が多い半面、アンケート調査では記憶に強く残ったものや熟考した思考しか回答として現れないというギャップです。これは視線データの活用と分析により解決することができます。
この2つのアプローチで、顧客が抱えている商品開発の精度解決に貢献できると考え、開発に至りました。
―― 開発の上で、苦労したことはありますか?
買い物行動における視線データをどのように解釈・分析すればよいのかという点は業界としても知見が薄い領域でチャレンジングな点でした。
この点を解決するために、買い物行動における視線の動きのリプレイ動画をベースに、インタビューを何十名にも繰り返し行いました。自身の買い物中の視線の動きを見ることで、短期記憶を呼び起こしたり、アンケートだけでは表れない機微な反応についても理解し、視線データ分析の体系化を行うことができました。
―― サービスの魅力について改めて教えてください。
買い物行動というのは、非常に直感的に行われ、またすぐに記憶から忘れされやすい行動のため、従来のアンケートでは顕在意識にしかアプローチできずにいました。
このサービスは、これまでアプローチや理解が難しかった買い物行動の解明に役立つ、画期的なソリューションだと思っています。
事業企画本部 中田一隆(なかた・かずたか)さん
今回は「模擬店舗」と「視線データの定量分析サービス」についてご紹介しました。今後もマクロミルの新サービスなど、ご紹介していく予定です!