7.5 「習うより慣れろ」のトレーニングで投資センスをきたえる

不動産投資は実践した人にしか分からないことが多々あります。やってみて初めて分かる。私は不動産の運用経験はあったものの、キャリアのほとんどが中古物件ばかりで、設計や建築についてはど素人でした。

1. 新築物件

新築を始めた当初は、設計士が作った図面を信用してしまっていて、ほとんど任せっきり。今考えると、勉強不足で真剣に取り組んでいなかったと反省しています。しかし、何度も繰り返していくうちに、今では設計士の図面をチェックし、自分で抜け漏れがないかチェックしたり間取りの最適化をして、プランを修正できるようになりました。

特に建築基準法上の高さ制限、採光、避難経路、バルコニー設置、東京都の安全条例、ワンルーム規制、自治体の条例など頭に入っています。こうしたルールを踏まえて、収支が最大化できるような取り組みは全てトライしています。そして、採算が取れる状態で、新しいことをチャレンジする。そうしないと、経験値が積まれないので、機会損失が大きいと考えています。

2. 設計士の選定ミスで、1000万の大損⁈

私が最初に手掛けた案件は設計士の選定ミス、私の経験不足から、ボリュームプランから失敗しました。10戸入る土地だったのに設計士が9戸しか入れず、1戸分の賃料を失いました。その悔しさは今でも忘れません。あのとき誰かのコンサルを受けて、セカンドオピニオンを聞いていれば1000万価値が上がったのに、と今でも思います。その後、実践で設計や建築を色々と学びました。

3. 投資センスを磨くために

知見や経験、投資センスは本をいくら読んでも、得られるものではありません。成功した経験は忘れやすいですが、失敗した経験は忘れない、貴重な財産になります。学校の授業と一緒で、ただ座学で先生の話を聞いただけではテストは解けません。理解したつもりでも、いざ、本番となるとできない。英語はいい例で、座学で文法や単語をいくら記憶できたとしても、会話できるようになるには慣れるしかありません。

教えてもらった情報や学んだことを引っ張りだして、それを頭でリンクさせながら自分で考えて慣れるという実務が必要です。ノウハウはトライアンドエラーで何度も実践でやった人にしか身に付かず、1日でなんとかなるものではありません。

ではビギナーはどうしたらいいのかという話になりますが、正しい専門家のアドバイスを受けながら、まずは自分で考えて、繰り返し「トレーニング」することです。

私が始めた頃は、教えてくれる人がおらず海外の書籍を読んだり、独学で学ぶしかありませんでした。頭で理解していたつもりでしたが、不動産ファンドに入って手を動かしてみると分からないことだらけ。エクセルで作成した事業計画はボロクソに言われ、赤ペンだらけ。どれだけ書籍やツールを読み込んだところで実務に勝ることはありません。特に、投資ファンドの投資ノウハウや投資戦略は機密情報なので、ディールをやらないと分かりません。不動産投資の最初の経験を世界の一流ファンドで経験できたのは本当にラッキーでした。

4. 「習うより慣れろ」のコンセプトを貫いた、弊社のオリジナルプログラム

あれから10年経過しても「習うより慣れろ」の精神は変わりません。累計1000件以上のディールを経験してた今でも毎回学びがあります。専門的な知識が要求される開発は奥が深く、知らないことが出てきます。

こうした実体験や経験を生かして、ビギナーで不動産経験かない人でも、AIシステムを活用した投資実践プログラムというものを主催しています。そのプログラムとは、座学ではなく、習うより慣れろのコンセプトで、参加者自身がAIシステムを使って案件を見つけ、企画し、プレゼンをするというものです。

そのプレゼンに対して、参加メンバーからのセカンドオピニオン、専門家からのクオリティチェックを受けて案件の精度を上げていくセッションを定例で開催しています。定例のミーティング以外の場では、自動ボリュームプランや、仕入れ自動配信システム、売却先のターゲット分析ツールを使って参加者自ら企画、投資実行するまで、SNSを使ってリアルタイムで個別にサポートしています。

これらのAIツールは便利ですが、あくまで「ツール」です。使いこなすにはやはり本番での実践を通じて自分で考える力を身につける。そうすることによって、最新の情報にアップデートし、偏った考えや間違った理解を正すことができます。

プログラムに参加された女性の例を紹介します。お知り合いの設計士が入れたプランが3F、9戸プランでダメダメだったので、こちらで日影規制の逃げ方や、間取りの配置を変えるなど手を加えてアドバイスしました。結果的に4F、12戸プランに修正して収支を合わせました。プログラムでプレゼンした一件目は業者にキャッシュで買われてしまいましたが、2件目は即決。プログラムがなければ、捨てていた案件だったそうです。その女性もプログラムを通じて「習うより慣れろ」の重要さを認識されたことでしょう。

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