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白黒

たぶん。
ユーレイってやつは、白と黒の2種類いると思う。
どうして、こんなことを言えるのか。
それは、見たことがあるかもしれないからだ。
白いほうは、母親の叔母のとき。
黒いほうは、親戚のおばさんのとき。
白いほうは、寝ているときに、ゆらっと、ぼくの体の中に入ってきた。
黒いほうは、仕事帰りの夜、自宅のすぐ近くの電柱に、黒い人の影が、スッと隠れたように感じたからだ。
それでも、本当に見たのかわからないし、ユーレイなのかもわからないし、ただの目の錯覚かもしれない。
でも、ユーレイは、白と黒がいるのは、間違いなさそうだ。
白いのは、ぼくの弟が湯気みたいなものを見たと言っていた。
黒いのは、マッチングアプリで出会った女性と電話していたとき、その女性が、黒い影を見たことがあると言われたからだ。
しかも、いると断言していた。
ぼくだけでなく、他の人にも、見たという話を聞いていると、やっぱり、白と黒のユーレイはいるようだ。
どうして、2種類なのかはわからない。
あっちの世界は、モノクロの世界なのだろうか。
白はいいヤツで、黒はわるいヤツなのだろうか。
それとも、悔いを残した分だけ、色が黒いのだろうか。
人生を全うしたら、色が白いのだろうか。
それは、まったく、ぼくにはわからないことだ。
ぼくには、確かめようもないことだ。
たぶん。
ユーレイには、白と黒がいる。
どうしてだろう。
この世の中は、理解できないことで、存在している。


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