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地テシ:316 三ノ宮センセが今度こそ三ノ宮に行ったよ!

劇団☆新感線が昨秋上演いたしました「薔薇とサムライ2」のゲキ×シネ上映とBlu-ray発売が決まりましたね。

《ゲキ×シネ》というのは《舞台を何十台ものカメラで撮影したワンダホーな映像を映画館の大画面大音量で楽しませてあ~げる》という企画です。古田新太くんと天海祐希さんの強力コンビによる、様々な陰謀渦巻くヨーロッパでの大冒険が全国の映画館で楽しめちゃうってコトですよ。8月4日から3週間限定なんですって。夏休みの頃ですから丁度いいよね。
見に行けないって方でも冬まで我慢すればBlu-rayが発売されますから、ご自宅で思う存分に大航海ができますよ。
いずれも詳細は後日発表らしいので、続報をお待ちくださいね!

さらに、新感線の次回公演「天號星」のスケジュールが発表されたり、昨春公演「神州無頼街」のBlu-rayが発売されたりと情報過多な一週間でした。情報過多! ジョーホーカタ! なんか外国の町の名前みたいでいいね。

ちなみに映像特典満載の「神州無頼街」BDには何故だか私の静岡ぶらり旅「まこトラベル 特別版 静岡編」も収録されています。何度もつっかえながら喋っておりますが、台本もカンペも無しにしては頑張った方だよ。うん、そうだよ。ま、「丸子宿(まりこしゅく)」を「まるこ」と言い間違えたり、なんか色々間違えちゃってるけどね! あと、初めての食レポにも挑戦してるしね!


さて、前回の粗筋は「三ノ宮センセが三ノ宮に行く前に北浜でお昼ご飯を食べた話を書いたら長くなっちゃってまだ北浜を出てい~ません」でした。その模様は保坂エマさんの音声番組に紹介されていますよ。

だもんで、ここではその番組の補足というか訂正というか、まあとにかくこの音声に沿った解説をしていきたいと思います。


そもそもの発端は劇団☆新感線「ミナト町純情オセロ」で私が演じた役名が三ノ宮一郎だったので三ノ宮に行きたいと思いたったコトでした。そしてそれにエマさんが乗っかってきたという次第です。
学生の頃に三ノ宮にはちょいちょい行っておりましたが、その頃にはあまり行っていなかったポイントを巡ってみましょう。


まず向かったのは生田神社。「ミナト町純情オセロ」の舞台となるのは関西のとある架空のミナト町である「神部(かんべ)」です。おそらくモデルは兵庫県の神戸(こうべ)なのでしょうが、面白いコトに神戸の語源は「生田神社に仕える人々である神部(かんべ)」あるいは「生田神社に税を納める人々である神戸(かんべ)」が由来と言われています。そして「かんべ」→「こんべ」→「こうべ」になったようです。
要するに神戸の町が興って発展したのは生田神社が中心だったというコトですね。となれば、まずは生田神社にお参りせずばなりますまい。

生田神社は神功皇后(応神天皇の母)が三韓征伐の帰りに創建したと言われており、それが本当ならば西暦200年頃というコトになります。少なくとも平安時代には書物にその名が見えることからも、かなり歴史の長い神社ではあります。

こちらが生田神社の二ノ鳥居
生田神社の楼門。奥に拝殿が見えますね

この生田神社のあたりには「生田の森」と呼ばれた森(今でも本殿裏にちょっと残っています)がありまして、源平合戦の戦場となったり和歌に詠まれたりもしています。
また、会話の中で「この怪しさよ」と入口まで行って戻ってきた東門筋(ひがしもんすじ)というのは無料案内所があるような歓楽街でして、今では随分と綺麗になっていますが昔はもっと怪しくて猥雑なエリアだったんです。聖と俗は表裏一体でして、大きな神社の側には歓楽街があるものなんです。

帰りに通った東門筋。昔と比べて随分と綺麗になって怪しさは減っています

あと、平清盛が造成した福原京について《10年程しか使われていない短命の都だった》とか語っていますが、調べてみたら半年ほどしか使われていなかったんだってさ。みじかっ!


続いては三宮神社に詣りましょう。生田神社から《いくたロード》を南に下って一の鳥居を潜ったら、一本西の《トアロード》に向かいましょう。その辺りに小振りな「三宮神社」があります。

かつてはもっと広かったようですが、今ではこぢんまりしています

生田神社には一宮神社から八宮神社までの《裔神八社》(えいしんはっしゃ)と言われる八柱の末社がありまして、かつては八社の位置を繋ぐと北斗七星の形をしていたという噂もあります。その三番目の社が三宮神社であり、この辺りの地名の由来というワケです。ちなみに、地名としては「三宮」だし、阪急・阪神・神戸市営地下鉄の駅名も「三宮駅」ですが、JRだけ「三ノ宮駅」なんですよ。

こちらが木目とアクリル板で読みにくい由緒書

明治になってスグの頃に、この三宮神社の前あたり(西国街道だからメインストリートなのよ)で日本の侍と外国の水兵たちが争った《神戸事件》というのがありました。幕末の《生麦事件》と同様のトラブルです。境内にはこの神戸事件の時に使われたのと同時代の大砲も展示されていました。


さて、三宮神社の南側一帯が旧居留地。居留地というのは幕末に開国した時に、主要な港の近くに用意された外国人専用地のコトです。幕末に開かれた港は《開港五港》と呼ばれていますが、番組の中では長崎を言い忘れていますね。開港五港は箱館(函館)、新潟、神奈川、兵庫、長崎の五つです。あと、《日米修好通商条約》のことも《日米通商修好条約》と言い間違えてるし。なんか言い間違えてばかりだな。

ニッケこと日本毛織さんのビル。今はグッチも入っています。ニッケにグッチ。

旧居留地ではありますが明治時代の建物はほとんど残っておらず、今ではハイブランドがひしめくオシャレ街になっています。とはいえ商船三井ビルディングなどの大正時代の建物はまだいくつか残っていますし、当時のままではなくともそれっぽい外観の建物もあります。
番組中に「外観に関しては昔のまま」と言っているのは海岸通の《海岸ビル》のコトです。阪神・淡路大震災の時に全壊しましたが、立て直しの際に旧ビルの外壁だけを再構築したので、パッと見は古いビルに見えます。ホントに外壁だけが独立して建っていて、その内側に近代的なビルが建っているのよ。

海岸ビル。低層階の外壁だけが昔のままで、その中をくり抜くように新しいビルが建っています

その後、メリケンパークに移動して海を眺めながらソフトクリームをなめたりして番組は終わります。ちなみにソフトクリームはエマさんの奢りでしたよ。ごちそうさまでした。

潮風に吹かれまくりながら収録しています。かまぼこ状なのはオリエンタルホテル


番組はここで終わりますが、三ノ宮の旅はもうちょっと続いています。ここからは駆け足でご紹介いたしましょう。
メリケンパークから海沿いを歩いて「神戸海軍操練所跡」に行き、また旧居留地に戻って唯一現存する居留地時代の商館である「旧神戸居留地十五番館」にも行きました。阪神・淡路大震災で全壊しましたが、残された部材を70%使用して復元された重要文化財です。

勝海舟の建言により設立された海軍操練所の跡
十五番館は明治14年頃にアメリカの領事館として建てられました
十五番館の横にあった下水道公開施設。明治5年だそうです

その後、神戸市立博物館に行って常設展を観覧しましたが、特別展の「ジブリパークとジブリ展」が物凄い人気で入場制限が行われている中、「常設展示だけ見たいのですが」「あ、でしたらあちらにどうぞ」みたいな遣り取りがありましたよ。

ジブリ展は大変な人出でしたが常設展はガラガラでした
常設展に展示されていた明治期の居留地模型。中央辺りに十五番館があります。
こちらも常設展で見つけた昔のパーマ機。いかにも電熱コイルって感じ


最後は大学生時代の想い出の「ピノッキオ」で夕食を頂きましょう。山小屋風の内装が印象的な1962年創業のイタリア料理店です。名物のピザは水を使わずにミルクとスパイスを練り込んで作るそうで、創業以来の何枚目に焼き上げられたピザかを示すカードも付いてきます。
もちろんピザも美味しかったのですが、それ以上に感動したのがパスタですよ。ひとくち食べただけであまりの美味しさにエマさんと目が合って、すぐにパスタをもう一品お願いしたほどです。お昼にはランチもしているようですので、お近くの方はぜひどうぞ。

生田神社の裏手あたりにあるピノッキオさん
我々が頂いたのは143万8997枚目のピザでした。60年の歴史を感じます


そんなこんなの三ノ宮の三ノ宮探検記。この日は奇しくも北浜の「ニューハマヤ」と三ノ宮の「ピノッキオ」と、30年以上ぶりの想い出グルメ連発の一日でした。
神戸に行くのは10年以上ぶりですが、三ノ宮としては三ノ宮に行けて満足です。行ったからといって役作りには何の影響もないんですけどね。

ではまた来週。


あ、最後に一つだけ。Nintendo Switchの「ゼルダの伝説 ティアーズ オブ ザ キングダム」が予想通りにヤバいぜ! 区切りがつけやすいから中断しやすいんだけど、すぐにまたプレイしたくなるぜ! 時間が溶けるぜ!