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地テシ:275 芦花公園駅あたりの旧甲州街道を歩いてみよう

先日、ゲキ×シネで上映されました「狐晴明九尾狩」ですが、今度はドルビーシネマにて上映ですって!

映像も音響もドルビーシネマ用にチューニングし直してるってんですから凄い! 限られた映画館でのみの上映となりますが、気になる方は是非体験してみて下さい。私も体験したいのはやまやまですが、「薔薇とサムライ2」の稽古真っ最中ですからねえ。どうなることやら。8/19からですよ!



さて、旧街道好きの私が千歳烏山駅あたりの旧甲州街道を歩いてみた、というのが前回のあらすじでしたね。このあたりは現甲州街道(国道20号線)と旧甲州街道が一旦分離してまた再合流するという、ちょっと面白い構造になっております。現甲州街道である国道20号線烏山バイパスができたのが1964(昭和39)年頃だそうですので、つまり私と同い年です。よう! 同輩!
旧甲州街道は片側一車線ですが、現甲州街道は片側二車線。となれば車両は主にそちらを通るコトになりまして、旧甲州街道の通行量は減ることになり、結果的に再開発の速度は遅くなります。
地元の方にとっては残念な事かもしれませんが、おかげで私のような旧街道が好きな人間が景色を楽しむことができるというワケです。

前回のあらすじをより細かく書きますと「旧甲州街道を歩いていたら、芦花公園駅の近くで私好みの古建築が続けざまに!」でして、続けざまにどうしたのかといえば、それはつまり続けざまに現れたのでして、思わずちょっと声が出ちゃったほど印象的だったんです。しかも古さの年代がちょっとずつ違ってそれがまた嬉しかったのですよ。

烏山下宿バス停を越えた辺りで目に飛び込んできたのは、昭和の匂い漂いまくる古いアーケード商店街でした。

その名も「丸美ストアー」。僅か数十メートルだし、営業していないお店も多いけれど、一階が店舗で二階が住居、向かい合う建物の間に屋根が掛かっているといういかにも昭和らしい構造のレトロなアーケード商店街です。
とりあえず写真を連投しますので、その趣深さをご堪能下さい。いや、皆さまにもお楽しみ頂けるかどうかは判りませんけども。

薄暗い内部が気になりますよね
こちらが天窓から光が差し込む内部。途中でちょっと曲がっているのもカッコイイ
商店街の出口側から。このまま手前側に、普通に公道に繋がっています
出口側から見た屈曲部。昭和の香りが漂いまくっているでしょ!
この二階の雰囲気がいいんですよ。庇があるってコトは後からアーケードが付いたのでしょうか?

どう、このエモさ! 合ってる? この場合「エモい」で合ってる? エモい写真ってコトで合ってる? まあいいんです。私がエモさを感じているのですからそれでいいのです。

例によって国土地理院のHPから見られる昔の航空写真を閲覧したところ、1961(昭和36)年までの写真では画像が粗くて確認できませんでしたが、1963(昭和38)年の写真ではそれらしきアーケードがありましたので、おそらく1963年頃には建造されていたようです。これまた私とほぼ同年代。この昭和30~40年代に甲州街道バイパスができたり丸美ストアーが建設されたりしていたという、いかにも高度成長期らしい勢いが感じられます。
一時にはシャッター商店街化していたようですが、最近ではまた若い人々がリノベーションしてお店を開いたりもしているようですので、これからもできるだけ長く営業していて頂けますと喜びます、私が。


で、この丸美ストアー前を更に東に進みますと、今度はさらに年代が古くなった古建築が建っていました。

営業はしていませんでしたが「山本農機」という看板が掲げられています。こちらは世田谷区のHPにも地域風景遺産1-34として紹介もされておりまして、1942(昭和17)年築の農機具店だそうです。

芦花公園駅前の地図看板でも取り上げられていました。

地図看板が傷みすぎていて可哀想ですので新しくしてあげて下さい

いかにも昭和初期らしい木造住宅で、外壁などに石材が使われているのは防火のためでしょう。こちらも色んな角度からの写真をお楽しみ下さい。

広角レンズで全貌を。二階部両側の石材は現代風の「うだつ」なのかもしれません
軒の感じとか雨戸の戸袋の部分とかが年代を感じさせます
道の向かい側から。いかにも旧街道沿いっぽい佇まいです

こちらも国土地理院の航空写真で確認したところ、1948(昭和23)年の写真では確認できました。それ以前の写真だとちょっとボケすぎていてハッキリとは判らないんだけどね。いずれにせよ、築70年を越えているのですから大したものです。

しかも! その隣にもさらに古さを感じられる建築が建っていたのですからエモさもぶち上がろうというモノです。

戦前の建物にしてはモダンです。山小屋風なのでしょうか

こちらは現在は(株)クニナカ家具製作となっておりますが、上記の世田谷区のHPにも「戦前の建築で、元は鉄工所」としか書いてありません。でも、山本農機さんのと同じ昭和23年の空中写真でもそれらしき建物が写っていますので、同様に相当古い建物のようです。こちらも色んな角度からそのエモさをご確認下さい。

オーダー家具店として満点の外観です
道の向かい側から。右側の、ちょこんと乗っかった二階部分がカワイイ
その二階部分を横から。明かりが点っていて暖かさを感じますね

その隣の烏山下宿公園には戦前からのケヤキの大木も立っています。

ケヤキが主役の小さな公園

この公園があるところが芦花公園駅北交差点。そして、この交差点から芦花公園駅までの商店街が可愛らしい。短いし歩道もやたらと狭いけど、そこがまた昔からの生活道路にむりやり商店街を作ったっぽくて愛らしく感じられます。

歩道が狭すぎねぇ?

この交差点を越えて更にもうちょっと東に行くと新旧甲州街道の分岐点に出ます。その分岐点にはあの「喜山飯店」のショップがありました。

左が旧道、右が新道。そして真ん中が喜山飯店

そう、テレビのロケ弁や楽屋弁当でお馴染みの、おかずにパンチがありすぎてご飯が足りなくなることで有名な、ボリュームのある弁当が大好きな若手演劇人に大好評の、あの喜山飯店ですよ。やっぱり良いよね、喜山飯店。

なお、実は後日、千歳烏山駅の西側、つまり仙川駅側の方にも散歩に行っておりまして、こちら側の新旧甲州街道分岐点にも行ってみました。こちらの分岐点には「焼肉キング仙川店」が建っておりましたよ。

右が新道、左から合流してくるのが旧道です

これで仙川駅~千歳烏山駅~芦花公園駅の三駅に渡る旧甲州街道を満喫したことになります。西半分でも色々と面白いモノを発見したのですが、発見しちゃったのですが、そこまで書いちゃうと更に長くなっちゃうので割愛するさ。ああ、長くなっちゃうからさ。
ただ、旧街道沿いに見られる、大谷石とかの立派な石塀にたっぷりの庭があるような大邸宅の近所には、同じ姓の中邸宅があるコトが多く、多分本家と分家とかなんだろうなとか、昔から住んでいらっしゃる地主さんとか名士さんとかなんだろうなとか、フィールドワークならではの感慨深い発見があるコトだけはお伝えしておきましょう。まあ、傍から見れば散歩しながら表札を確認している怪しいおじさんなんですけどね。


そんなこんなの旧甲州街道散歩日記。初めて行く場所なんだから面白いのは当然なのですが、地元の普段見慣れている街並みでも別の視点から見れば中々に興味深いモノなんですよ。いつもの日々をちょっと面白い日々に。
では、また。


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