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ナポレオンフィッシュUKレコーディングドキュメンタリーを観た。

本来なら佐野元春とコヨーテ・バンドは2020年のこの夏、日本各地を席巻していたはずだった。自身のレコードデヴュー40周年をファンとともに祝うために。

しかし、未だ終わりが見えないヴァイラス禍によって計画されてたいたライヴトゥワーはまったく先の見通しが立たず、延期された日程すら発表されていない状況。

これは佐野さん(以後佐野先輩)のみに限った話ではないが。

代わりに発表になったのが『佐野元春40周年記念フィルムフェスティバル』という配信プログラムで、2020年7月から年末まで続く。第2弾として今回初公開された映像は、89年リリースのアルバム『ナポレオンフィッシュと泳ぐ日』のロンドンレコーディングドキュメント。同アルバムリリース20周年の際にもその存在が噂されたフィルム。

既にパッケージ販売されている第1弾のライヴ(2018年Manijuトゥーファイナル)の模様は見逃し再配信もされたが、今回はたった一回のみ。

83年、同じく単身渡米してNYで制作された『Visitors』と比べて『ナポレオンフィッシュ』アルバムが違う点は、このアルバムはバンドサウンドにこだわってる部分にある。

一昔前の日本の音楽シーンに見られがちな現地のミュージシャンと録音しましたっていう“ハクを付ける“ものではなく、まさに、一つのバンドとして一から作り上げていく過程が見られる貴重なフィルムだった。

「異国の地で現地ミュージシャンに認められて尊敬を集めるのは容易いことではない。モトは本物だった」(要約)

プロデューサーのコリン・フェアリーはそう強調していたが、そのバンドとしての共同作業の様子は佐野元春ファンでなくとも興味深い。

自身のヴォーカルテイクの時だけじゃなく、他のパートのレコーディングの際も自分のブースで唄う佐野先輩。これは近年のコヨーテ・バンドとのレコーディングの時も、いや、これまでもずぅーっとそうだったに違いない。

例えば『Coyote』アルバムの際にはNHKのカメラが入ったが、おそらく、この手の映像は探せばまだまだあるはずだと思う。

貴重なエピソードが一つ。前出のコリン・フェアリーが語っていたが、当時同じスタジオの別の部屋でポール・マッカートニーがレコーディングしていたそうで、唯一日本から参加したハートランドのサックスプレイヤー、ダディ柴田のことを話したらしい。

「ダディという凄いプレイヤーがいる!」

しばらくしたあと、ポールが是非ダディを使いたいとコリンに言ったらしいが、その時にはもうダディは帰国の途についた時だった。残念。

そして、その年の12月のある日。現地のパブでメンバーの誕生日を祝う様子。酔っ払った佐野先輩を見られるのももの凄くレア(笑)。

再配信がされないのはおそらく権利関係じゃないかと思う。現在のSony(Epic)との関係がどうだか分からないが(そう悪くはないはず)この『ナポレオンフィッシュ』レコーディングドキュメントは是非パッケージ販売してほしい。

ナポレオンフィッシュと泳ぐ日(1989)

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