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菌の力、人の力

<タイトル>
もやしもん
<著者>
石川雅之

<菌の漫画といえばこれ>
肉眼で「菌」が見えるという特殊な能力を持つ老舗のもやし屋の後継候補が、農大に入学するところから物語は始まる。新種の発見難易度が大きく下がるなど学術的な高い価値から、主人公の行末は周りの人間の思惑に左右されていく…。
という感じの物語かと思いきや、どちらかと言えば人間ドラマの様相が大きい。特殊能力はストーリーの進捗のスピード感の一助になっているくらいで、はっきり言ってこの能力が大筋に与える影響は小さい。
菌による現実に起こる様々な事象の説明においては、非常に丁寧な解説の描写がされている。これだけ読んでもとても興味深い。当初は「お酒ができる過程とかの簡単な学びになったらいいな」くらいの気持ちで楽天でポチったものですが、いい意味でその期待は裏切られることになりました。

<好きなキャラクターは武藤葵>
だって美人ですもん。
という冗談はさておき(あながち冗談でも無い)、彼女がメインのエピソードが一番好きなんですね。
無類の酒好きである彼女は、基本的には飲んだくれのダメキャラとして描かれることが多いものの、酒に関することには一家言あり、少なく無い知識や確固たる自身の意見を披露する場面がちらほら見られます。

※以下はストーリーの内容に触れますのでご注意ください。


地ビールの開発をする醸造所の女性と、地ビールを巡る口論を繰り広げた武藤さん。その後醸造所のビールを飲み、「地ビールが苦手」という認識に飲まず嫌いの一面があったことを知ります。「ビールとは何か」に悩む武藤さんは、同級生が働くバーで目にした写真から何かを感じ取り、目前に迫る大学のイベントを「オクトーバーフェスト」に変更し、自らのプロデュースでイベントを形作っていきます。
最も心動いたのは、成人していない学生に向けた一言ですね。流石に学内イベントで未成年が飲酒するわけにもいかないので、特に一年生はビールを飲まずにイベントに携わることとなります。漫画が描かれた当時の時代背景(と自身の大学時代の風習)を考えると、不満も多かろうと思います。そんな下級生の不満に対する一言は、とんでもなく格好いいです。この一言に出会えただけでも、読んで良かったと思います。

大学3年生にしてこのカリスマ。

もやしもん (講談社)

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ミス農大に選ばれたときの武藤さん可愛い。
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