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限界OL、破魔矢に願う。

気付いたら年が明けていた。令和の元号歴も5年目か…など、思いを馳せる余裕もなかった。私にとって2022年は、自分史上を語る上で絶対に無視できない『とんでもイヤー』になった。

人間の多くは、現実として受け止めるのが困難な出来事は、自分の身には降りかからないものだと思っている。だから、イレギュラーが発生すると混乱し、慌て、時にパニックを起こすのだと思う。そうでなければ、災害時の買い占めなんて起こり得ない。

限界OLは、この世に生を受けた時から割と限界だった。未だに詳しい話は知らないが、生まれてすぐ大病院へ搬送され、生存確率は30%と告げられ、父親はほぼ諦めていたという。私的には、「嫁入り前どころか人間界入り前のレディーの腹に傷を作ったんだから、そこは生き残せよ」といった思いだ。(当時の手術関係者の方々、その節はありがとうございました)

無理ゲーを見事クリアした限界ベビーは、「まさか」を引き寄せる力はそのままに、限界OLへと成長した。なんやかんやあり、27歳の春に新しい彼氏ができた。歳も歳だし、そのまま結婚するつもりでいたが、29歳を目前にして急にフラれた。それだけでも十分「まさか」なのに、私が愛した相手はどうやら虚言癖だったらしい。

人生最大の「まさか」を食らった限界OLは、今年で30歳を迎える。物は言いようで、「30歳になる前でよかったよ」と言えばそれはそうだし、逆に「20代終盤の貴重な時間を無駄にした」と言えばそれもその通りだ。
根っからネガティブな私の感情は、後者でしかない。時間を無駄にしたというより、彼を本気で好きだったあの頃の自分がさすがに可哀想でならない。いつになればこの気持ちは成仏するのか、めどが立つ様子もないまま新年を迎えてしまった。

そんな事件の後から、「よく人間不信にならないね」としばしば言われるが、さすがにそんなこともない。幸い、いま付き合いがある人が良い人ばかりだから、人間不信を実感する機会がないだけなのだと思う。もしもこの先素敵な殿方に出会って、その方がどれだけ素直で誠実であっても、おそらく信頼を置けるようになるまでは相当の時間を要すると思う。
彼は、大量の洋服とトラウマだけを残していった。洋服に関しては、バーでお隣になったおじいさまが「古着屋に持って行っちゃえ♪」と勧めてくれたが、熟考の末、燃えるごみの袋に詰め込ませて頂いた。
トラウマに関しては、私も処理方法が分からない。きっと上手く付き合っていくしかないのだろう。おすすめの克服法をご存知の方がいらっしゃったら、ぜひともご教授願いたい。

怒涛の2022年後半を経て、パッとしない正月を迎えた私は、初のソロ初詣へ出向いてきた。楽しそうに参拝の列に並ぶファミリーやカップルから放たれるキラキラオーラは、こんな限界OLには刺激が強すぎるため、私はスマホの画面を凝視することに集中した。YouTubeは限界OLを救うまである。ありがとう、Fischer's。

「願ったとて何になる…」という境地に達しそうだったが、なんだかんだ神頼みしたくなった。藁にもすがる思いとはこういうことを言うんだろう、気付いたら破魔矢をゲットしていた。
ちなみに、手を合わせてパッと浮かんだ願い事は、「お願いだから何も起きませんように」だった。友達には、願い事にすら限界味を感じると言われた。それでいい。

晴れやかな気持ちで新年を迎えたいところだが、2023年には希望も絶望もない。きっと30歳を迎えても、何かが大きく変わったりはしないんだと思う。ただ、人生における一つの節目として、自分自身と向き合う時間は十分に設けたい。ここ数年を振り返ると、自分のために時間を使うことはあまりなかったし、自分が誰だかも分からないまま「他人のために」を軸にしてしまいがちだったから、一旦原点に立ち返るのもアリだな...と。

今年はとにかく無事に、そして平和に過ごせるよう、ただ日々を全うしていこうと思う。皆さんもどうかご自愛くださいませ。


以上!

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