【結婚式の舞台裏話】想いを汲みとり涙を笑顔で
春は結婚式のハイシーズンです。
3月から、たくさんの挙式をお手伝いさせていただいています。
今日は、3組の結婚式のお手伝いをさせていただきました。お写真を持って参列されている方を多くお見受けしました。
新婦お母様他界…お父様他界…
その他にも後ろの席に座られているご親族のもつお写真…
ウエディングプランナーが長い時間かけて打ち合わせをしてきた様々な情報を資料から読み取り、私はチャペルの中でその進行通りに作り上げていきます。以前は私もウエディングプランナーをしていたので、担当をするというプレッシャーはかなり知っているし、わかります。
今私はその経験を経て、あえてのアテンダント。介添えです。
チャペルの準備を整えて待つ私たち。
新郎新婦様と親御様がチャペルに入っていらっしゃっると、牧師や奏者達を代表して私がご挨拶をします。
その全体のご挨拶の前に、新婦様のお父様が入っていらっしゃった時、「おめでとうございます」と、私はご挨拶をさせていただきました。
お父様は、お持ちになられたハガキサイズくらいのお写真を胸のところあたりに持ち上げて、「新婦の母です」と、私にお母様をご紹介くださいました。私は、もう一度、にっこり笑顔のお母様のお顔に向かってお辞儀をし、ご挨拶させていただきました。
「おめでとうございます」と、笑顔で。
お写真をお持ちになられていても、なかなか私に紹介していただくことは少ないです。
まだ去年お亡くなりになられたばかりとの情報が資料にはありました。
お父様、新婦様、ご家族様、そして皆さまの中で、お母様はとても近い心の中で生きていらっしゃると感じました。
写真の中の笑顔のお母様。悲しみを乗り越えて、結婚式を迎えられたハレの日。
お母様にどれだけこの花嫁姿を見せたかったでしょう。お父様はふとした瞬間に何度も涙ぐまれていました。
新婦様は、私の予想ですが、涙が枯れるほど泣かれて、今日はたくさんの笑顔を落ち着いてお見せになっていらっしゃるようでした。
新郎様が、涙されていました。きっと、辛い時に、新婦様のそばにいて、支えられてきたのかな…(あくまでも私が勝手に想像してみただけ)
バージンロードを歩くお父様、しっかりとエスコートをなさいました。そして、強く強く、新郎様と握手を交わされていました。
お父様は、お席につかれてからも、また涙をこらえる表情で、祭壇に立つ新婦様の後ろ姿を見つめていらっしゃいました。
私は、チャペル全体を見渡すと、ゲストのほとんどが涙を流してありました。出席者は新婦様のお友達ばかり。
きっと、新婦様とお母様のことをたくさんご存知の関係の方たち。
私は、その涙を受け止めながら、感情的にならずに挙式を滞りなく進めていかなければなりません。
何度も何度も、私の母を思い出しました。同じ経験をしたことがあるから、私は新婦様とお父様の気持ちに寄り添うことができます。
私の母にも、私の花嫁姿を見せられませんでした。
スーツを着てインカム付けている私は涙することはできません。
このお祝いの日に、その涙の方々の為に、精一杯のおめでとうを込めた笑顔でアテンドをするのです。
皆さんの流す涙は、よかったねって、おめでとうって、喜びの感動の涙、そしてお母さんに見せたかったよねって…
色んな感情の混じり合う空間の中にいました。
写真の中のお母様、そして他のご両家でもお持ちになられていたお写真の中の方々。皆さん、いい笑顔でにっこり笑ってらっしゃいました。
このような人生の特別なシーンに立ち合わせていただき、ありがたいことです。