誕生日
事実を元にした作り話です。時代を感じる一コマをどうぞ。
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携帯メールでのやりとり
- ・・・でさ、私の誕生日は○月×日だよ。もうすぐだから宣伝しちゃう。
- 手帳に書いてあるから知ってるよ。
- わ~、すご~い。
へえ、それってすごいことなんだあ、と思った。
10年以上前のこと、Kさんは私のメルトモ第1号だった。どこかのメル友募集で知り合って、メールを始めた。私が彼女に出したのか、彼女が膨大な数の男性の「メル友募集」の中から探したのか覚えていないが、今考えるとどちらにしても膨大な数の中から、私ひとりではなかったにしても、選んでくれてたわけだ。感謝しなければ。
それで、毎日のようにメールのやりとりを始めた。彼女は結婚していて子供が2人いて、東京23区外に住んでいて、仕事も持っていた。
数ヶ月程度やりとりしてからだっただろうか。当時、結構東京に出張が多かった私は、思い切って「今度東京に行くので、お茶でもどうです?」と誘ってみた。答えは、私の意に反してあっさりOKだった。
当日は午前中が私の仕事、彼女も仕事があるみたいで、私の仕事が終わったら彼女の近くまで移動することになっていた。約束通り、仕事が終わって東京から携帯を入れると、ちょっと都合が悪くなった、と言うことでその日は空振りとなった。
2回目の待ち合わせは、私が午後から仕事の日。新橋で待ち合せ、午前中お台場のビーナスフォートで過ごした。私は初めてだったので、あの幻想的な空が面白かった。
3回目はお互いに時間がなく、東京駅でお昼した程度。
彼女と会ったのはこの2回だけ。
メールをはじめて最初の彼女の誕生日に「お誕生日おめでとう。」メールを出した。「覚えていてくれたの?」と、ものすごく喜んでくれて、そんなに喜んでもらえるとは思っても見なかった私は、びっくりしてしまった。
以来毎年、「お誕生日メール」を出していた。年賀状メールも。でも、彼女からお誕生日メールは来なかった。
何年か経ち、メールの頻度も下がり、2,3ヶ月に一度とか、あるいはそれ以上間隔が空くようになり、次第にお誕生日メールも忘れるようになってしまった。ある時、ひさびさにメールを出したら、不達のエラーで帰ってきた。数年続いた(と言っていいのかどうかわからないけど)メルトモが終わってしまった。
後悔はしてない。だけど、ひょっとしたら、お誕生日メールが続いていたら、終わることはなかったんじゃないか、と。
- わ~、すご~い。
- だって、忘れちゃうし。お誕生日、覚えていてもらうと嬉しいでしょ?
- うん、うん、嬉しい。
(2007.6.16 初出 mixi 一部加筆修正)
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お友達の誕生日、皆さん、覚えてますか?
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