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ニューヨークの写真家|ブルックリン橋の下、ふっと現れたグランドピアノ
ニューヨークの写真家、リチャード コーマン。
彼のpopupは常にチャレンジがある。
写真がテープで壁に無造作に貼り付けてあったと思えば、別の日には同じ写真が威厳を示すようフレームに収められ三脚に乗せられたり、床に置かれていたりする。飾る位置が上下違うだけでも新しい装いとなる。
大胆にも、数十年前のモノクロポートレイトに斬新でカラフルなコラージュが施されることもある。
これがめまぐるしく移り変わるニューヨークならではのアートシーンなのか!
![](https://assets.st-note.com/img/1678931523878-0KDV2its1Q.jpg?width=800)
リチャードは撮影した写真家しか知らないことを自ら語ってくれる。すると私は目の前にある写真の中に入りこみ、あたかもその場所にいた錯覚に陥る。
写真の背景にあるストーリー。
写真とともに、これはどうしても書き残しておきたい物語なのだ。
ブルックリン橋の下、グランドピアノが現る
2014年6月2日 ニューヨーク。
マンハッタンとブルックリンを繋ぐブルックリン橋の真下を流れるイースト川から突如グランドピアノが出現した。どこから来たのか、なぜそこにあるのか、持ち主はいるのか、このミステリアスな出来事にニューヨーカー達が大いなる関心を寄せる。しかし誰一人その謎を解く者はいない。
![](https://assets.st-note.com/img/1678918326459-zL6ooeOFHs.jpg?width=800)
ポートレイト写真家リチャード コーマンの好奇心をもくすぐる。
川岸に放置されたそのグランドピアノの完璧で壮観な佇まい。そこに人はいない。
ピアノの傍らに誰かが欲しい。
リチャードがそんな衝動に駆られるのに時間はかからなかった。
バレイダンサーとグランドピアノ
彼女しかいない。ミスティ コープランド。
リチャードはすぐにミスティに電話をかける。撮影の了解を得るためだ。
彼の友人でもあるミスティ コープランドは、翌2015年にアメリカン バレイ シアターにてアフリカ系黒人女性ダンサーとして初のプリンシパルに昇格した世界を代表するバレイダンサーだ。
![](https://assets.st-note.com/img/1678915975885-5UL90GGUgi.jpg?width=800)
撮影:リチャード コーマン
撮影は早朝。
朝の光がニューヨークという舞台を照らす。
すみずみまで鍛えられ強くしなやかなボディがピアノの上で踊る。
![](https://assets.st-note.com/img/1678917063490-4Pfx6ddj15.jpg?width=800)
![](https://assets.st-note.com/img/1678934221520-H8gO4vbNC5.jpg?width=800)
ちょうど昇ってきた太陽がまるでスポットライトのようにミスティとグランドピアノを輝かせる。ひとりのダンサーと名もなきピアノがニューヨークという舞台で一躍注目を浴びる存在となったことを象徴しているかのようだ。
ミスティ コープランドは現在もこれからも益々目が離せない。
バレイダンサーを超えた価値のある存在であることに疑う余地はない。
グランドピアノは撮影後どこかへ片付けられてしまった。
いつしか我々の記憶からも消えてしまうのだろうか。
いや、ミスティ コープランドとともにグランドピアノは写真の中に、そして我らの心の中に永遠にしっかりと刻まれていく。
![](https://assets.st-note.com/img/1678934600601-27rS6V9Rgm.png?width=800)
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