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ニューヨークの食|ごひいきの「もやし」
ニューヨークのもやしは、子供のころに食べたもやしと似ている。
日本では衛生的な個装パックがスーパーマーケットで売られるようになってからしばらく経つが、幼少の当時もやしは八百屋さんの店先に置かれたポリバケツ(クリーム色もしくは水色)の中で水につかっていた。ざるに一杯〇〇円、盛り方によってはずいぶん得した気分になったのを子供心にも覚えている。
ニューヨークのグロッサリー(食料雑貨店)ではトレイにパックされているもやし(薬味用かと思うほど少量のこともある)が野菜の棚に並んでいるのをみかける。
これは一般的。
アジア系の食料品店ではもやしがそのまま売り場の棚に山積みされ量り売りで販売していることが多い。
これは正直手を出すのに少し勇気がいる。
ひいきのアジア系の店では口をしっかり結んだ袋にもやしがぎゅうっと詰められ野菜売り場に並んでいる。一袋1キロくらいはある大袋だ。
袋を突き破ろうとするくらいもやしのひとつひとつに勢いがあり新鮮なのが分かる。
これにはガッツポーズがでる。
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野菜売り場に並ぶもやし
おいしい、ヘルシー、調理しやすい、そして安い。もやしはどんな食材ともコラボしやすく主役の味を引き立てる名わき役。我が家でも頻繁に食卓に上る欠かせない野菜だ。
見た目でおいしいと確信したごひいき店のもやしは食感も味も裏切らなかった。味が濃くもはや主役になるほどのクオリティにこれはもやしの王様だなと感心した。かつての水から上がったばかりのもやしの味にも似ている気がする。
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水に浸し冷蔵庫で保管するとしばらくはシャキシャキしていただけるので大袋でも全く困らない。
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おいしさが長持ち
今日もやし、ないの?
ある土曜日、レジで働く顔なじみの店員に尋ねた。午前中にはあるはずのお目当てのもやし袋がひとつもなかったからだ。いつもの店員ももやしのないことを不思議に思ったらしく、すぐに売り場で野菜を並べていた入荷担当らしき人に大きな声できいてくれた。二人ともあきれた顔をしながら中国語で会話をしている。
しばらくすると入荷担当らしき人が、すまなそうな顔をして答えてくれた。今朝入ってきたのだけど質が悪くてね。全部返品したよ。明日は日曜日で入荷がないから月曜日になっちゃう。ごめんね。
ありがとう。思わずお礼を言った。
間違いなくもやしの王様だよ。
もやしだけではない。
このお店の全ての食材がおいしい理由もわかったよ。
もやしはなかったけど帰り道の足取りは軽かった。
月曜日の買いものも待ち遠しくなった。
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