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SF小説っぽい細胞の話

いま上映中の映画に「はたらく細胞」というアニメがありますが、劇場版アニメのプロモーションということで、少し前に再放送があったりYoutubeで特別に観れたりしたので、それらを何話か観て、作品の評価等ではなく、そこから端を発して思ったことを書いてみます。(映画はまだ観ていません)

簡単に言うと、身体の中で起きていることを人間社会の「しごと」風に置き換えて、体内で起こる異変を分かり易く伝えるという内容でした。たいへん興味深いアニメです。

そのテレビシリーズの最終話は、「出血性ショック」というタイトルで前編と後編に渡って展開しますが、怪我で大量出血したときの身体の中の様子を、それはもう壮大なスケールで描いていきます。

キャラクター化されて人間の姿をしているのは、赤血球とか白血球、血小板などの体内で動き回る血液細胞で、臓器などは巨大装置を携えた施設や空間として描かれています。ほかにも人間の姿をしたキャラクターには、マクロファージやキラーT細胞などがあり、このアニメを観なかったら、およそ日常生活には縁のない細胞名を、何度か観ていくうちに知らない間に愛着を持って鑑賞することになります。

花粉症の症状を描いた回などはとても面白く、花粉症の人は体内でたいへんな騒動になっているんだな~と、キャラクターたちの奮闘する姿を観て思います。春になったら、花粉症の人が鼻水でぐずぐずになっていたりくしゃみをするだけで、このアニメを思い出しそうです。笑

で、テレビシリーズの最終話の「出血性ショック」の回に戻りますが、そこでは、物凄い数の人間の姿をした赤血球たちが世界の外に放り出されてしまい、もはやこの世の終わりとも思えるほど崩壊した都市(=体内)が描かれていました。しかし、そんな状況においても、酸欠で死にそうになっている細胞たちのために、健気にも酸素を運ぶ僅かに残った赤血球たち。

そのうちに、あたりは低体温症を表現した極寒の雪山に変わり、主人公キャラの赤血球の女の子に、ついに体力の限界が訪れ気を失いかけたその時、突如として救世主が現れます!それは、ちょっとだけ違うデザインの制服を着用した外から運び込まれた赤血球たちでした。

つまり輸血されたってことですね。笑


これにより、崩壊寸前だった都市は、新たに送り込まれた大軍の赤血球たちによって、見事に復興を遂げます。とりあえずハッピーエンドでした。


ところで、輸血のシーンに描かれていた「ちょっとだけ違うデザインの制服」を着た赤血球の人たちは、言い換えれば、元々は「誰かの体内にあった」血液であり、おそらくは献血で採血されたものではないかと容易に想像できます。

ここで疑問に思うのは、輸血後、あらたに体内に送り込まれた血液は、その後どうやって身体に馴染んでいくのだろうか?という点。

実は献血してくれた人の赤血球の方が圧倒的に強靭で、もしかしたらそれまで居た本人の赤血球を追いやって、新しい勢力が体内を支配してしまうなんてことは無いのだろうか?

昭和の古い昔、大量出血の大怪我をした血液型A型の祖母は、近くにA型の血液を持った人が居なかったため、とりあえずO型の血液を輸血(昔はO型はどの血液型にも馴染むと言われていましたw)したところ、無事に窮地を脱することができました。

ただその後、祖母の血液型はA型からO型に変わったと聞いています。

さすがに現代医療では、同じ血液型でない血液を輸血するようなことは無いと思いますが、アニメで描かれた制服違いの意味するところは、それこそ文字どおり血を分けた肉親でもない限り、やっぱり本人の血と送り込まれた他人の血では、ちょっと違うのではないのかな~という点です。血を分けてくれたその人がどういう人だったのかちょっと気になるのと、願わくば優秀な人だったら、そっちの血に活躍して欲しいなんて思うのは私だけ~?(by だいたひかる)

SFっぽい話でいうと、有名スポーツ選手や芸術家、映画スターやノーベル賞受賞者など、世の中で名を馳せた人の精子や卵子が高値で取引される都市伝説もあるように、血液だって、それこそ「血統書」として闇で売買されるような時代が来るのでは?...という小説も書けそうです。ある程度成長したあとに違うDNAが体内に送り込まれたときの体内変化と心理的な変化を描けますね。そういう小説、もうあるのかな?

そして近い将来、体内細胞のいずれかのトレードも、医療的な課題をクリアしたことを前提に、ヤフオクやメルカリで密かに行われたりするわけです。ジモティ(※注)では無いかな~。amazonや楽天でお金を売る人がいる時代なので、道徳を無視した小説の話としてはありですかね~。

そして、臓器移植したときは、臓器提供してくれた人の記憶が移植した人に乗り移るみたいな「たけしのアンビリーバボー」に出て来そうな都市伝説があるように、そういうことがコントロールできるようになれば、産業としてビジネス化するわけです。何度も言いますが、小説の話です。もうあるのかな?

ちなみに私は、映画「アイランド」が好きです。

というわけで、「はたらく細胞」を観て思ったことでした。

(※注釈)ジモティは無料取引にとても便利です。引っ越しの際、不要になった冷蔵庫を知らない人にあげることができました。

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