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「瓶」

瓶の中に
詩が入っております
誰か 他人のものではなく
ぼくの思いを文字にした――
詩の入る瓶

傾ければ するする と
詩が注がれる――

そんなことはなく
何も出てこないのです
入っている…はずなのです
瓶の底に貼りついているのかな

振ってみます

出てきません

どうも その中には
やはり何もない…
カラのようです

いや 入っているはず
さっきまで いっぱいあった はず
それが カラになっている?

不思議です 盗まれたのかな
誰か瓶を倒し みんな流れ出た…とか

ああ 詩が
どこからか降ってこないか
どこかに落ちていないか
どこかに埋まってやしないか

「それ」がみつからない
言葉を探しにゆかないのだから…

わかっております わかっております

ごろごろしている自分の前に
詩がやって来ることを
夢想しているだけなのです

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