【私詩】「あるパーティーにて」
「つまらない会社を辞め
いまは フリーでーすっ!!」
ぼくは絶叫した
絶叫してみせた
大声に驚かれたか
場内には多数の人がいて
一瞬だけ静まったが
ぼくのことなど 誰も知らない
ただ
別の男=ぼくの弟=のために
ここに集まったのだ
有力者の身内といういことで
一言あいさつを――
そう求められたぼくは
マイクを握って 絶叫してみせた
叫んだところで
誰も 何の反応もしない
あなたに価値はないのです
そこに集う人たちのこたえだ
仕方ない 事実だ
ぼくはそれを受け容れる
自ら手を伸ばしはしない
誰かが手を差し出してくれないか
と
ぼくは甘い夢をみる
どこからも手は伸びてこず
絶叫はなかったことになった
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