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■あれこそ大スクープだ

マスコミってナニ?(25)

ニュースの存在を考える 「マスコミへの道」改

◇朝日を全紙が後追い

新聞記者の使命は「特ダネ」を取ること。
僕を含めて、多くの人は「社会をよくしたい、変えたい」みたいな感情を持ってマスコミを目指し、そこに入る。
天下国家を大所高所から論ずる…なんていう仕事はかなり先に少数の記者、編集者、論説委員らがやること、と後に知る。
大多数は上から「特ダネ、ネタ取りに回れ」と尻を叩かれる。
他社との競争に消耗し、疲れ果てるのがほとんどだ。
それが、世界レベル、国レベルどころか、小さな業界、町村といったレベルまで…記者が複数いればそこに特ダネ競争が生じる。
そんな生活に何年か耐え、上のおぼえがめでたければ、東京本社に行けたり、出世もできる――。
僕自身は、30代前半でそういう現場から追い出され、結果的に傍流を歩む人間で終わった。

それでも苛烈な競争の中で、ネタを取れる記者こそが一番優秀だと、今も思う。
名文でうならせたり、斬新でいながら共感を得るような企画、調査報道も結構だが、誰も知らされてないことをスッパ抜く――それこそが記者冥利に尽きる、と思う。

そう感じさせたのが、今週6日付の朝日新聞である。
小惑星探査機「はやぶさ2」が持ち帰った砂から20種以上のアミノ酸

翌7日の朝刊は、朝日以外のすべての新聞が1面にこれを持ってきた。朝日の完勝である。特ダネの多くが、大きな扱いで報道されたり、ネット上でわざわざ【独自】などと見出しにわざわざつけられて報じられても、ほとんどの人が、「何それ?」と感じるものだ。
そのなかでは、今回のニュースは胸のすく、わかりやすい特ダネだったと思う。

ただ、科学ネタはあまり世間で注目を浴びるものではないようだが、「やはり地球の生命の源が宇宙由来だった」ということを証明する大発見のスクープはすばらしい、と素直に思った。新聞協会賞をとってもおかしくないだろう。

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