「お ジイさん」
古びたマンションに
ぼくはジイさんを迎えにゆく
下りてゆくから 待ってて――
そう言われていたので
ぼくは ジイさんを待つ
エントランスの奥で
影が動く
早いな…
いや 違った 別の住人だ
別のジイさんだ
ジイさん 足元がおぼつかない
うつむきながら出てくる
手の中に スマホ
指先を画面に滑らせる
お ジイさん スマホ使うのか
ほぉ スマホ使えるのか
あ
ちょっと待て
ぼくも 十分ジイさんじゃないか
ジイさんなんだよな
笑えないよな――
ぼくはマンション前で
待つ
ジイさんは
まだ やってこない
※画像はお絵描きばりぐっどくん生成
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