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「私の杖」

たぶんそれは
天から降ってくる
たぶんそれは
地から湧いてくる

目に見えず
手に触れられず
質量もなく
音も色も匂いもない

それは
人にないと困るもので
君は
それが天から降ってくる
地から湧いてくる
そして
それが君という
器――
空っぽの器に
満ちみちてくるのを
待っている まっている

その時を
君はひたすら待っている

根拠もなく
その時はきっとくる

希望だけを持つ

それが君の杖なのだ

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