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思いついたらつける草

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週刊連載を目指している不定期連載のエッセイになる予定集 三人の作家たちが、思いついたときに小説にするまでもないけど、とりあえず書いておこうかなって思ったら、ゆる〜く書きます。 た…
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記事一覧

こころの腕相撲

泊木 空    87歳の詩人は少女だった。 「ここにいる中で一番若いのは私ね」  古民家の…

思い出の箱を開けて

先日、押し入れの奥から一つの古い箱を見つけた。埃を払い、そっと蓋を開けると、色あせた写真…

文学フリマ東京39に出店します【その2】

紫乃羽衣 昨日は、とりあえず久保田の意気込みを書かせてもらった。 そう。私の想像で!!!…

文学フリマ東京39に参加します。

紫乃羽衣 なんとですね、一周年を経て ついに作ってしまいます。リアル本。 リアル「誌」。 …

バックナンバー目次

シリーズごと「秘密の園」(泊木空) 「傅く」(久保田ひかる)継続中 「アオンレスイ」(…

迷惑という呪縛━━人間のフレームワーク①

紫乃羽衣 電車で移動している時のこと。 乗客が多く、それなりに立つ人間が出ていた。 かく…

ギャンブルではないけれど

ギャンブルではないけれど、昔から日本には双六があった。 正確には、奈良時代に伝来したものらしい。 以来、貴族文化の中で日本人に好まれてきたようである。 兼好が『徒然草』で双六の名人に話を聞いたらしい。 ということらしい。 簡単に内容を説明すると 「双六の上手な人に、どうやっているのかを聞くと『勝とうと打ってはならない、負けないようにと打つのが良い。どの手が負けてしまうだろうかと考えて、その手を使わずに、一目でも遅く負ける手にするのが良い』という。」 と言った内容であ

若者と未来の確率

未来というのは、あらゆる事象が起きる。 それは、想定し得ないものになる。 一方で、近い未…

『バードウォッチングの思い出』

久保田ひかる  日向さんは偉い人です。それに素敵な人です。断っておきますが、そう思えない…

良いことはしたほうがいいよ(原題:オムロ ウ ユモワホ ロコヨ フ モウロ)

いつかのフェランにホカロラハで聞いた話。 シャミは貧しい労働者で砂を刻む仕事をしていた。…

気忙しい日日 列車のなかで

泊木 空  真夜中。  地下鉄で電車を待っていたとき。  一番前に立っていると、電車がホ…

黒薬草になった男

 泊木 空  その植物をどこで見つけたのか、いまとなっては思い出せない。  駅前の公園だ…

サボテンは考え中

泊木 空    ダイソーで、かわいらしい形に成長したサボテンを買ってきた。  大きなおせ…

『フォークの思い出』

久保田ひかる 栃木県は足利市、都会と言うほど栄えてはいないが、田舎というには賑やかすぎる町。 福沢諭吉の足利学校もあり、足利尊氏まで脈々と繋がる足利姓も生まれた町。 現代では映画の撮影に使われるロケ地としても名を馳せる町。 歳月を経た本統の歴史と、急造されたハリボテの混在する町。 喫茶マタンテは、そんな町に夢想された。 ──原国多恵は耳につけたイヤホンを外しながらこちらに微笑みかけた。すらりと背の高い原国は遠目に見ると一瞬モデルのようだ。今日の彼女は初夏の装いである。仕立