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私の芝居日記 20号 「闇に咲く花」

闇に咲く花(こまつ座)
作:井上ひさし
演出:栗山民也
出演:山西惇、松下洸平、浅利陽介、尾上寛之、田中茂弘、阿岐之将一、水村直也(ギター)、増子倭文江、枝元萌、占部房子、尾身美詞、伊藤安那、塚瀬香名子
日時:2023年8月12日(土)18:00~21:00
劇場:紀伊國屋サザンシアターTAKASHIMAYA(東京新宿)

戦後間もない進駐軍占領下の日本。
東京神田の愛敬稲荷神社の神主、その息子、息子の親友、交番のお巡りさん、神社の一角にあるお面工場で働く戦争未亡人たちが繰り広げる喜劇、悲劇。

太平洋戦争の敗戦から78年。その記憶が薄らぎつつある今、観るべき芝居だと思います。
戦時下、国民を戦争に駆り立てた社会。戦後、罪に問われたB級戦犯、C級戦犯、日本を占領した進駐軍、闇市や闇米が可笑しく、悲しく描かれています。

神主の息子役の松下洸平が良いです。神主である父親に戦時下、国民を戦争に駆り立てた神社の責任を問う場面の演技は何回も観たくなります。良いです。こまつ座「母と暮らせば」の息子役も良かったが、こっちの方が好きです。

神主役の山西惇も良いです。こまつ座の「雨」、新国立劇場「エンジェルス・イン・アメリカ」も良かった。

5人の戦争未亡人もエネルギーに満ち溢れ、苦しい戦後を生き抜いた逞しい日本女性を体現しています。長くこの役を演じ続けている増子倭文江が良いです。所作がとても気持ちがいいです。

あの戦時下で反戦を唱えた人は少数です。責任の大小はありますが、多くの人達は「戦争に駆り立てた側」なのではないか。そんなことを芝居を観ながら考えました。

8月29日(火)にもう一度、観に行く予定です。
当日券があります。皆さんも是非、ご覧ください。

それではまたお会いしましょう。
さようなら。
(山本満)






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