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障害年金 初診日について考える

障害年金の請求においては初診日の確定が最重要課題です。

しかし内科的疾患においては長期の治療によりその症状が増進していく場合があります。例えば糖尿病や腎疾患で人工透析療法が必要になった場合など、初診日を何十年もさかのぼって証明する必要があります。

原則的には「受診状況等証明書」により、医師にその内容を記載してもらう必要がありますが、診療録の保存期間は法律で5年と定められています。電子カルテの普及により5年を超えて診療録が保存されている病院もあるものの、それが破棄されていれば請求者自身が何らかの資料を元に第三者証明等で証明する必要が出てきます。(以下、日本年金機構該当HP)

https://www.nenkin.go.jp/service/pamphlet/kyufu.files/0326.pdf

ここで問題になるのは、請求者本人が何十年も前の診療における資料を保存しているかどうかという事です。複数の病院を経ている場合、残念ながら最初の病院における何らかの資料を保存している場合はほとんどないのではないかと思います。

精神疾患の治療も長期間にわたることも多く、転院が多くなるほど最初の病院の証明が困難になる場合が多いです。

その場合、「受診状況等証明書が取得できない申立書」において、”何も証明できる書類はない”欄にチェックを入れることになりますが、それでは請求書一式を提出したとしても、”初診日を特定することができません”として却下の通知が届くことになります。

保険料を長い間きちんと納めてきたにもかかわらず、”初診日が証明できない”こと一点において障害年金が請求できなくなるという事は大変不条理であると思います。

”国は年金を払いたくないからだ”、”そんな昔のことが必要なら国が記録を管理すべきだ”、など、相談者様から思いを聞かされると何ともやるせない気持ちになります。立腹されるのも当然です。

「第三者証明」という方法も、”絵に描いた餅”になっている場合が多いのではないでしょうか。親族でない複数の証人が他人の何十年も前のことを覚えているでしょうか。しかも原則は何らかの資料の添付が必要となります。

「初診日の証明」ということについて、何らかの手段を講ずる法律改正が望まれます。





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