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国民年金 保険料免除制度

国民年金保険料は令和3年現在、16,610円/月です。

決して安くはない金額ですね。

しかし、納付するお金がなければ保険料納付は困難です。どうしても納めることが困難な場合は保険料免除制度を利用する手段があります。いくつかの保険料免除制度をご紹介します。

障害基礎年金受給期間や生活保護期間等(国年法89条)はいわゆる”法定免除”となります。手続きは必要ですが、保険料納付が免除されます。1/2国庫負担分は将来の老齢基礎年金額に算定されます。

出産予定日の前月から出産予定月の翌々月までの4カ月間は保険料を納める必要はありません。手続きは必要です。保険料納付済み期間となります。


申請免除制度にはいくつかの種類があります。

全額免除制度・・保険料全額免除。国庫負担1/2算定あり(国年法90条)

4分の3免除制度・・保険料3/4免除。残りの1/4は支払う必要があります(国年法90条の2) 全額納付した場合の年金額の5/8

2分の1免除制度・・保険料1/2免除。残りの1/2は支払う必要があります。(国年法90条の2の2) 全額納付した場合の年金額の6/8

4分の1免除制度・・保険料1/4免除。残りの3/4は支払う必要があります。(国年法90条の2の3) 全額納付した場合の年金額の8/7

以上の免除は、本人・配偶者・世帯主の前年の所得により審査されます。すべての審査を受けるか、又は希望した免除制度の審査を受けることができます。すべての審査を受けた場合は免除額が多い順番で決定されます。

配偶者と世帯主は本人と連帯して国民年金保険料の納付義務を負います。(国年法88条) そのため、被保険者本人の所得が少なくとも、配偶者又は世帯主の前年の所得が基準以上ある場合は免除が認められない場合があります。


その他の申請免除で猶予制度と呼ばれる免除制度もあります。保険料は全額免除になりますが、国庫負担がないため、将来の老齢基礎年金額としては算定されません。

学生納付特例制度・・学生期間の保険料が全額免除。国庫負担なし。(国年法の3) 本人の前年の所得により審査されます。

30歳未満、30才以上50歳未満の納付猶予制度・・保険料は全額免除になります。国庫負担はありません。(H16附則19条、改善法附則14((平成37年6月までの時限措置)本人・配偶者の前年の所得により審査されます。

納付猶予制度は、その後の納付を期待される制度ですので国庫負担はありません。10年以内の追納制度については次回ご説明します。

尚、免除期間は原則、前年の7月から当年の6月までの12ヶ月が申請免除期間となります。学生納付猶予制度は学年ごとの審査になります。



上記のように、どうしても納めることが困難な場合は保険料免除制度を利用する手段があります。これまでも数回書いていますが、未納を続けると将来の老齢基礎年金が減額になるだけでなく、若い時でも、万一の際の障害年金や遺族年金が請求できなくなる恐れがあります。

大きな傷病が発生して障害年金を請求する場合に、保険料納付要件を満たさず、請求自体ができない場合を数多くみてきました。


年金の理解が進まないのは国に責任があると思います。


前年の所得が多くて免除にならなくとも、現時点では資金が足りず、納めたくとも納められない場合もあるかもしれません。

この場合は年金事務所に相談するとよいと思います。コロナ過においての臨時特例免除申請等もあります。何らかの解決策を相談する方が良いと思います。


納付が可能なのに税金と同じ性格をもつ保険料を納付しないことは法律に違反することになり、支払が可能であるにも関わらず、長期に未納の状態が続くと督促を受け、最悪は預貯金口座の差押え処分を受けることもあります。(差押え分は保険料未納分に充当されるが延滞金が科される) (国年法96条・97条)

聞いていてなんとも気分の良くない話ではあると思います。罰金とは違いますし、差押え分は未納期間の充当に充てられますので損はありませんが、何度も呼び出しの催告状が届き、電話連絡があったりする、そちらの方が気分が悪くないでしょうか。

それに、金融機関に公租公課の未納による差押えを知られることになります。自営の場合はそちらの方がダメージではないでしょうか。


国が年金に関しての不安を解消する説明は必要であると思います。年金制度は完璧ではありませんが、今後も国民を守る大事な制度であると思います。

議論は大切ですし、良い制度に改良されることが一番です。




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