見出し画像

遺族年金 30歳未満の子のない妻の場合

遺族年金には、遺族基礎年金と遺族厚生年金があります。

(18歳の年度末又は障害等級1・2級で20歳未満)のないには、遺族基礎年金は支給されません。

子のない妻でも遺族厚生年金は支給されますが、夫の死亡時に30歳未満である妻の場合、遺族厚生年金の受給期間が5年となっています。(厚年法63条1項5のイ)

遺族厚生年金は再婚などの失権事由に当たらない限り、一生涯受給が原則ですが、30歳未満で子のない妻に関しては例外になります。(平成19年4月1日より改正)

いわゆる改悪にあたると思いますが、若い女性はあらたな配偶者と再婚の可能性もあり、仕事も長期で可能と考えらえるとして自助努力を求める方向に変わったのでしょう。

ちなみに夫にこの規程はありません。そもそも遺族厚生年金を受ける場合は妻が死亡時に夫は55才以上である必要(60歳まで支給停止)があるからです。

死亡した夫も20歳代と仮定すると、短期要件に該当する必要があります。長期要件は300月(25年)以上の保険料納付等の要件が必要になりますので、20歳代の夫が長期要件に該当することはありません。

つまり、死亡時までに厚生年金加入歴があっても、短期要件に該当しない限り遺族厚生年金は支給されないことになります。


例:R3.4死亡時、夫28歳、厚生年金加入中(平均標準報酬額240,000) 被保険者期間72月(短期要件の場合は300月とみなして計算されます)、妻26歳

遺族厚生年金額(参考)・・標準報酬額240,000円×0.005481×みなし300月×0.75=295,974円(年間) (偶数月49,329円×6回払い)

上記の試算額を5年間受け取って終了です。年金額は平均標準報酬額によって変わりますが、20歳代のうちはそんなに給与も多くないでしょう。結果的に遺族厚生年金額も大きくなりません。(障害厚生年金3級のように最低保障もありません)

民間の生命保険は、契約時に生涯の生活保障金額を考慮し、保険金額を定めると思います。万一の場合、妻が20歳代で子がなくとも、契約した保険金は一時金にしても年金払いにしても支払われるでしょう。

このあたりは公的保険と民間保険の違いになりますね。





この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?