N35°35’15.65” E139°33’17.21”ほんとにちっちゃな見逃しそうな道なんですけれども。

いつもお散歩でとおるし、買い物にいくときにもとおる道なんですけれども､犬蔵のほうにぬける遊歩道というか、歩行者専用道路のようになってる、ほんのすこーしの、階段が４段くらいある道があるんですね。そこがちょうどトンネルのようになっていて、その道が好きです。むこう側がちょっと見えにくい場所なんですね。で、したから見るとまるでなんか、ちがう世界に続いているように見えるんです。
トトロとメイちゃんが出会う場所、ちょうどなんか、そんなような雰囲気のあるところで。住宅のお庭の木や市が植えた樹木もあって、冬もいつもこんもりしている。うちの子どもたちがそこを勝手に「トトロの道」って呼びはじめて、うちではいまではそこを「トトロの道」って呼んでいます。｢トトロの道からいくと…｣とか、「トトロの道からもうちょっと美中にいったほう」とか、「もうちょっと手前のほう」みたいな…。ええ、わが家ではもうそこはひとつのポイントになってて、かなり生活のなかで会話の中心になってますね。
ほんとにちっちゃな見逃しそうな道なんですけれども。

うえの子が大学生になって、むこうに住んでいるお友達の所へしょっちゅういくようになった頃、だいたい６年前くらいですかね、その頃から子どもたち同士があの「トトロの道」ぬけてむこういくとさぁ、とかって話してたんですよ。それで、なにそれ、どこ？ってきいたら、散歩の途中でここだよ、って教えてくれて。この道を俺たち兄弟どうしでは｢トトロの道｣っていってるんだよー、っていうんで、それでへーって思ったんですよ。私はここをとおって、むこう側のスーパーへ買い物にちょこちょこいくんですれけど、あんまりそういう発想がなかったので。
「トトロの道」は、犬の散歩で毎日かならず一回はとおります。子どもたちがいるときは、いまもいっしょにいきますし、スーパーにも、ちょっと重い物があるからつきあって、っていうといっしょにいってくれるので、散歩がてら我が家ではけっこう使う道なんですね。
はすむかいのお宅のところにすごくおおきなキンモクセイの木があって、枝振りがよかったのか、いっときすっごくたくさん小鳥がきてましたね。
私が来た頃、この道の先は梅林かなんかでしたよね、そのしたはサツマイモ畑だったかな。昔はもっとすごくのどかな感じで、うちの母なんかはお散歩のとき、したの畑で働いてる人とお話したりとか。ついこないだまでけっこうのどか〜な感じだったんですけどね、今は道のむこうはマンションですね。

このおはなしは２０１６年No.００３号に収録されています。冊子をご希望のかたはご連絡ください。６５０円（送料込み）でお送りします。「街のはなし」２０２０年 No.００７へのサポートも大歓迎です。プロジェクトをサポートしていただけましたら大変励みになります！どうぞよろしくお願いします。