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労働審判から民事訴訟へ移行、戦略を練り直す

今回のnoteは、私自身の本人訴訟の経験談の5回目です(1回目2回目3回目4回目)。

わたしと元雇主との未払い残業代などに関する争いは、民事訴訟の法廷へと持ち込まれました。労働審判の会議室から民事訴訟の法廷ということになると、環境もガラッと変わって、いよいよ本番という引き締まった気持ちというか、久しぶりに武者震いするような、そんな感覚になります。

労働審判の結果はわたしの「勝訴」。舞台が民事訴訟へと移っても、同じ証拠で同じ主張や反論・抗弁ということであれば、わたしの優位は変わらないのではないかと思います。

とは言え、わたしは本人訴訟、元雇主には代理人弁護士が付いています。何らかの作戦があるからこそ、「労働審判」に異議申立てをしたのでしょう。おそらく、元雇主の会社は、その代理人弁護士へ任意交渉→労働審判→民事訴訟という審級ごとに着手金を支払っているはずです。金額にして、少なくとも50~60万円は既につぎ込んでいると思われます。その金額に見合う成果が出ると考えているのか、それとも一元従業員に負けるわけにはいかないと意地になって冷静な経営判断ができなくなっているのか・・。

いずれにしても、元雇主の内情を探るよりも、わたし自身も戦略を練り直す必要があります。労働審判では235万円の解決金となりましたが、民事訴訟へ移行して解決までにさらに時間がかかることになり、本人訴訟ではあるものの、わたし自身の人件費を考えれば、正直もう少し金額的な上乗せがほしいところ。そのためには、できる限り早く事件を解決させるよう努めつつ、金額の上乗せをするために戦略的に利用できる追加ネタを準備する必要があります。

舞台が労働審判から民事訴訟へ移って、その訴訟物は「残業代等請求事件」ということで残業代と立替経費の請求となります。「労働審判」の解決金235万円の中では領収書(書証)を提出できなかった電車代の立替経費は認められませんでしたが、今度はSuicaのデータ起こしをして書証とするつもりで、そこは認められれば少し金額の上乗せポイントになってはきます。しかし、それだけでは、仮に235万円のラインが上に動くとしても、100~150万円といった上乗せにはならないでしょう。

では、どのように戦略的に金額の上乗せを画策すればよいのか。どんな追加ネタが準備できるのか。そこで私が考えたのが、まもなく開始されようとしている民事訴訟での「残業代等請求事件」とは別に、もう一つ追加で労働審判を申立てる、ないし民事訴訟を起こすことでした。これを、別訴と言います。

わたしと元雇主との間には、未払い残業代問題の他にも、①フィリピンでの不法就労強要問題、②健康保険と厚生年金保険の手続き未履行問題、③虚偽の求人票による募集問題という3つの紛争ネタが存在していました。詳しくは追って説明しますが、もちろんすべてわたしが損害(精神的損害をふくめて)を被ったもので、労働審判ないし民事訴訟で「損害賠償請求事件」にまで持って行けそうな案件です。

つまり、労働審判から移行した民事訴訟「残業代等請求事件」で「235万円+α」での解決を目指すと同時に、上の①②③について、別訴での労働審判ないし民事訴訟「損害賠償請求事件」を起こして「100~200万円」の追加請求を目論むという戦略です。

元雇主の会社としても、別訴を起こされればそれなりに負担でしょうし、代理人弁護士を付けるとすれば、別の事件・別の審級となることから、追加で弁護士への着手金を支払う必要が出てくるでしょう。そうなれば、元雇主のキズはより深くなるはず。元雇主は早くすべての紛争を終わらせようと考えるでしょうし、別訴を起こしてしまえば、わたしには金額の上乗せがあるかもしれない。この戦略が当たれば、350~400万円程度の経済的利益も期待できる(「労働審判」での解決金235万円から150万円前後のアップ)。わたしは、そのように読んだわけです。

ただ、こんな訴訟の乱発のようなスラップっぽい手法が、果たして本当に受け入れられるのか。奇策となるのか。正直その時はわかりませんでしたが、そこは、何も知らないしろうとの強み、ビギナーズラック頼りです。わたしは、実際に、この戦略に基づいてより具体的な計画を立てて行ったのです。

続きは、次回とさせていただきます。ここまでお読みいただき、ありがとうございました。

街中利公

PS:拙著もぜひ手にお取りください。

免責事項: noteの内容は、私の実体験や実体験からの知識や個人的見解を読者の皆さまが本人訴訟を提起する際に役立つように提供させていただくものです。内容には誤りがないように注意を払っていますが、法律の専門家ではない私の実体験にもとづく限り、誤った情報は一切含まれていない、私の知識はすべて正しい、私の見解はすべて適切である、とまでは言い切ることができません。ゆえに、本noteで知り得た情報を使用した方がいかなる損害を被ったとしても、私には一切の責任はなく、その責任は使用者にあるものとさせていただきます。ご了承願います。

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