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Talker#08 | 伊藤司貴(WOODSMART)

造園業を軸としながら植木を用いて多様な切り口で活動を展開している伊藤さん。元々全く興味がなかった植木の世界。圃場との出会いでがきっかけとなり、少しずつ見えてきた奥深さに魅了されつつ、その一方で植木が人々の身近なものでは無いという課題に気づきました。これまでに展開した活動やそこに込められた思いをご紹介いただきました。

Talk Timeの様子

植物って身近なもののはずなのに、なぜか人々の生活から遠ざかっている。でも、植物が身近になることで生活は豊かになると思うんですよね。と優しく語る伊藤司貴さん。


WOODSMARTのきっかけ

世に知られていない植木産業の魅力を広め、人々のライフスタイルを豊かにしたいという思いの元「WOODSMART(ウッズマート)」を30歳で立ち上げました。造園業を主軸としながら、仕事のかたわらで「動画」「イラスト」「展示」などを各々パートナーと共に作り上げ、それらを手段に植木の魅力を発信しています。その結果、やっていることが回り回って仕事に繋がることも多く、また肩書も増えてきているとのこと。

植物に興味のない20代前半、ランドスケープ設計に従事する中で圃場(植物を育てる場)に訪問し、そこでの衝撃が今に繋がっているそうです。
こちらはそんな伊藤さんがディレクションした、圃場の様子やそこで働いている方の想いなどが記録されたショートフィルムのような動画です。まちなかに植えられている木々の一本一本に、生産者の想いが詰まっていることに気付かされ、また心が動かされます。

https://woodsmart.site/albums/story/

植木のストーリー動画(HPより)

STREET PLANTS PROJECTとは

続いて、植木の"移動する"ことができる特徴を活かし、圃場から借りてきた植木を大宮のまちなかに設置することで、彩りの少ない公共空間にグリーンの景色を創出する取り組み「STREET PLANTS PROJECT」をご紹介いただきました。
大宮駅から東に車で20分ほど行くと、日本4大植木産地として知られる川口市安行や、苗木や園芸作物の栽培が行われている見沼田んぼなどがあり、実は植木産業はさいたまが誇る地場産業の一つです。地域産業のPRにも繋げながら、まちなかのパブリックスペースの居心地を良くする取り組みとして、伊藤さんは生産者さんを都市へつなぐ役割を担っています。
マチミチミーツ閉会後には、希望者とともにまちに出て、ストリートプランツを目の前に改めて紹介いただきました。

実物を前に説明している様子
STREET PLANTS PROJECT photo:ToLoLo studio

同じ植木業界の人にまず伝えたい

それ以外にも、「ミュージック」「フードスケイプ」など多様な切り口を作って植木の魅力を伝えるきっかけづくりをしています。たくさんの切り口を作ったので、これからはそれぞれの取組にしっかり向き合い、拡散していきたいフェーズに入っていくそうです。その拡散先として焦点を当てる先は同業者。

伊藤さん:同じ植木業界の人に響かないんだったら、業界の外には響かないと思っています。特に同世代やさらに若い方たちと、業界の意識改革をして次の世代がもっと自由に動けるように。もっと色々な人が業界内に生まれてくるようになって欲しいと思っています。
業界のルールは今までの歴史として大切に重んじながら、時代の変わり目で生じる課題意識に対して敏感に動きたいんです。

そう淡々と語る中に強い思いが伝わってきます。様々な活動は伊藤さんお一人ではなく、それぞれパートナーと共に動かれています。やりたいことが浮かんだ時に、たくさんの出会いの中から自然とパートナーが見つかって今があるそうです。人がつないでくれたり、人が集まる場で出会ったり、SNSから声をかけたり、そして今やっていることが次につながっているそうです。

都市のライフスタイルを豊かにするために

伊藤さん:大きなビジョンとしては、都市のライフスタイルを豊かにすることを思い描いています。コンクリートジャングルである都市空間を、緑の多い生活空間にしていきたい。そのためには単純に緑を置くだけでなく、緑を置くことがきっかけで関わり合う人が増えていって欲しい。花の香りを楽しんだり、ハーブを摘んだり、植物の管理もみなで楽しみながらできるような、もっと自分ごとの多いまちになるといいですよね。ただ通り過ぎるだけの空間に いろんな接点が持てることで生活空間が豊かになると思っています。そのために植物の魅力を伝えていく活動を楽しみながら続けていきます。

今までの活動の集積は
伊藤さんのホームページをご確認ください。

※この記事は、当日のTalk以外に事前取材の内容も合わせて記載しています。


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