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Talker#12 | 水木花(OMIYA STREET WARDROBE)

「まちが面白くなることで、自分が楽しいし、みんなの居場所にもなればいいなと思ってます」と軽やかに語る水木花さん。幼少期に鍵っ子だったこともあり、パブリックな空間で遊び、そこに居る大人と過ごす時間が多く、まち全体が居場所だった原体験が今につながっています。最初のまちの活動は建築を学び始めた大学1年生のとき。まちを面白くしたいという大人たちと偶然知り合い、新設された公共空間に椅子やテーブルを持ち込んで中高生の居場所をつくりました。今では公園、駅前、道路とさまざまな公共空間を使い、企画ごとに仲間を変えながら、まちで楽しく過ごすための活動を展開しています。


水木さんは国分寺・国立方面に拠点があります。そんな一歩引いた立場だからこそ気づく大宮らしさを表通りでマーケットによって表現したそうです。

会場に語りかける水木さん
Talk Time の様子

まちの奥にある魅力を表へ

水木さん:ここから歩いて2分くらいのところに、再開発ビル「大宮門街」があって、その前にすごく広い歩道があるんですね。ここで古着のマーケットをやったらいいんじゃないかな?と思って仲間と「OMIYA STREET WARDROBE」というマーケットを2022年から年に一回開催しています。
なんで古着かというと、大宮の方はご存知かと思いますが、氷川参道へつながる一の宮通りという小さな通りを軸に、ひっそりと魅力的な古着屋さんが集まっているんです。このひっそりと構えている古着屋さんを表通りにもってくることで、まちの人に古着という隠れた魅力があることを気づいて欲しいなと考えて始めました。
この広い歩道には、このマチミチミーツを主催しているUDCOさんが植物やシェード、ベンチを置く「ストリートプランツ」という取組をしていました。それら設置物に、パイプを追加でセットすることで、古着をかけるハンガーラックを作りました。緑を点在させることで、統一感を図りながらも、色とりどりの古着が並ぶマーケットが生まれました。マーケットを開くことで、まちに普段とは違う風景が生まれ、 その場所の可能性や、一緒にやってくれる人たちの可能性、コンテンツの可能性が見えてきたことが面白かったです。

大宮門街前の日常
OMIYA STREET WARDROBEの風景

古着マップをつくることで

水木さん:マーケットを開催するに合わせて、古着マップを作りました。マップに掲載する情報を集めるためにお店に取材すると、「店舗同士のコミュニケーションはあまり多くない」とか、「あの店に憧れて大宮にやってきた」などの話を聞くことが出来たんです。そこで得た情報はブースをレイアウトするときの参考にしました。そうすると、マーケット中に先輩出店者さんが隣の出店者さんに値札の付け方をアドバイスしてるシーンが見られたりと、出店を機に会話をするようになって仲間になれるんですね。
マップ内の似顔絵は、いつか大宮で古着屋をやりたいという思いを持ってアルバイトをしている学生さんがイラストが得意だということで描いてもらいました。さらに、リアル店舗はまだ持っていませんでしたが、ネットでの販売をされていたので、マーケットに出店してもらいました。マーケットの良さは、リアル店舗を持っていない人も出店できることでもありますが、一番は、このまちと古着を愛する人たちが、顔を合わせて一堂に会することだと思います。
マップを作った一番の目的は、マーケットの後に実店舗へ足を運んで欲しい、開催日の一日だけでは終わらない、まちに少し残せるような形にしたかったんです。

大宮東口古着マップ

まちにあるものを見つける

水木さん:私は、国立駅の北口に住んでいます。南口は一橋大学があり、お店も多く賑やかですが、北口は住宅街で言い方は悪いですが、歩いていて面白いまちではないです。どこを向いても家ばかりで、壁ばかり。「ここにあるものって何かな?」と考えたら、住宅街の中に本当に小さい公園が徒歩3分ごとにある。大きな公園ではないから何かイベントのようなものはやったこと無いけど、小さな公園は沢山あって、人も沢山いる。でもお店がない。
じゃあ、この小さな公園で近隣の人がお店をやったら面白いなと思って仲間と「くにきたパークキャンプ」を企画をしました。地元に住んでて、なんか 地元 つまんないなって普段からぼやいてる4〜5人のメンバーです。
出店者さんは、公募では無く、ある程度 私たちが作りたい場を考え、ある程度 同じ感覚 、センスが近い人ということを前提に、知り合いに声をかけて集まってもらいました。農家さんが野菜を販売したり、器のコレクターが家にたくさんある器を販売したり。普段はお店をやっていないので、お店をやることが挑戦になったり、マーケットをきっかけにつながった人同士で仕事を始めたなんてことも聞きました。農家さんからは、社会科見学で受け入れたことがある子どもたちと、パークキャンプで再会できたことが良かったなんて感想を聞いて、なんだか自分も嬉しかったです。マーケットを介して、出店するために何かやり、やったことで何かが生まれるそのようなことがいくつも見られました。

くにきたパークキャンプ
住宅から持ち込まれた古着を孔版印刷でサイクルアップ
一緒に作ってくれたみんな

何かをやることで次につながる

水木さん:公園の企画に向けて、小さな椅子を格安店で購入し、近所の工務店で子どもたちと色を塗るワークショップをしました。30脚くらいかな。その椅子は公園の企画で終わりではなく、別の企画でも活用できる。一回何かを企画するなかで出来た成果は、何かやってみたい人のアンテナに引っかかり、「備品を貸して」とか「相談に乗って」とか声がかかることが多い。そうやって、何かをやることで次につながっていってるなと感じています。
実は市役所から実証実験したいという声がかかった企画もあったんですよ。

「OMIYA STREET WARDROBE」は今年も秋に開催予定です!
最新情報はコチラからご確認下さい。


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