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うどん県のルーツはここから。香川県庁デザイン室

●アート県クロニクル第3回
開催日/2018年7月27日(金)19:00〜(18:30 開場)
ゲスト/竹内守善さん (香川県知事公室地域振興参与)

今や自治体もブランディングの時代。でも、そのはるか40年以上も前に、香川県庁にはすでに「デザイン室」があったのをご存知ですか? 

金子元知事のもと、地域振興や文化振興におけるデザイン戦略を一手に担う専門部署。そもそもうどん県のルーツはここからはじまっていた?!
この画期的な取り組みに、初期メンバーとして携わってきた竹内さんに当時の悲喜こもごものお話を伺いました。

●竹内守善さん
1947年香川県生まれ(70歳)。1967年香川県庁に入庁。人事課勤務の頃、1970年職員有志で香川県デザインサロンを立ち上げる。その後、1972~78年香川県広聴広報課勤務。前半の3年間は香川県デザイン室で勤務(グラフィックデザイン・催事担当:1972~1975年)。デザイン室では主に地域振興や文化振興などにおけるデザイン戦略について研究・担当する。その後、企画部や観光セクションなどで数多くのイベントや博覧会のプラン、観光指針、さぬき瀬戸地域振興ビジョンなど数多くのプランニングに携わる。
職業訓練指導員(デザイン)の資格を持ち、切絵や版画作家としても作品の発表を続けている。切絵版画集「四国まんだら」19巻などを発刊や県の広報紙の表紙やうどんネクタイのデザインも担当した。

●開催レポート
今や自治体もブランディングの時代。そのはるか40年以上も前に、香川県庁に「デザイン室」があったのをご存知ですか? 金子元知事のもと、地域振興や文化振興におけるデザイン戦略を一手に担う専門部署。その一員として設立当初からのエピソードを知る竹内守善さんにお話を伺いました。竹内さんは、金子さんを身近に見てきた生き証人のお一人です。

昭和47(1972)年〜昭和50(1975)年の3年間、デザイン室は、知事直轄部署として、全庁の広報印刷物の原稿や企画等をチェックし、今風に言えば香川県のブランディングを担っていました。そのメンバーがじつにユニーク。産経新聞社の支局長だった木村さんを室長に引き抜き、他にも作曲家の大川さん、詩人の岡田さん、カメラマンの安川さん、統計の専門家である山本さん、そしてグラフィックデザインの竹内さんと、県庁職員でありながら、それぞれプロとしても活躍する専門家集団でした(ちなみに竹内さんは、現在切り絵作家でもあります)。

香川県庁舎の落成式をジャズバンドの生演奏で彩ったり、イタリア人を起用したうどんの観光ポスターや、長寿対策では長寿体操を考案、オリジナルソングの作詞作曲まで手がけるなど、今聞いても斬新な取り組みばかり。デザイン室には朝から晩までいろんな人が出入りし、とにかく忙しかったという竹内さんですが、「どうやったら相手に伝わるか。やるからにはとことんやるんや」という熱い言葉からは、当時のデザイン室の気迫が伝わってくるようです。

金子さんにとってデザインとは、単なる意匠の話ではなく、その政治哲学は「田園都市的香川の実現」という都市デザインにも及んでいたと竹内さん。「田園都市構想」とは、香川県出身の実業家&政治家だった中野武営が、イギリスの都市開発から構想し、田園調布など今の都市開発のベースになった考え方。金子さんはそれを香川に落とし込む中で、自然と社会が調和した未来像を描いていました。

お話はまだまだ尽きませんが(笑)、まるで金子さんが隣にいるように、いきいきと語ってくれた竹内さん。香川とはどうあるべきか。郷土への愛情が土地を磨き、発展へと導いていったんですね。(小西)

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