第8章 地域で動く
さまざまな知識はまちづくりの現場、つまり地域で活用してこそ生きるもの。動いてみないとわからないこともありますし、動いてみると学んだことがどんどんアップデートされていきます。お試しでも小さくてもいいのです。さあ、一歩を踏み出しましょう。
第8章は最終章。まちづくりの現場で動くためのポイントをお伝えします。
5ヶ月に渡りお届けしてきた「マチダス ぷらす!〜これからのまちづくり読本〜」はひとまず終了です。私たちは各地のまちづくり活動をこれからも支援していきます。現場で活動される方々とともに学んだことを、今後もさまざまな形でお伝えしていきます。またどこかのまちでお会いしましょう!
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これまでの第1章および第3章〜第7章は各¥200で、
第2章は¥100でお読みいただけます。
41.動く人と止まっている人は何が違う?
「あの人はいつもアクティブだよね。」「あのパワーはどこからくるんだろう?」 思いやアイディアを次々と形にして、常に前に進み続けるまちづくり人に向けられる賛辞です。たくさん動くことが全てよいことなのかという疑問は置いといて、「動く人」は一体何を持っているのかを考えてみたいと思います。「止まっている人」はどこかに自分を変える糸口がないか探してみてください。
「やりたいことをやっている」
基本はこれでしょう。自ずとパワーも湧いてきます。因みに「ボランティア」という言葉も本来は「意思により自発的に動く人」という意味なので、このタイプに該当します。
「常識に囚われない」
好奇心が旺盛で、常に新しいものを追い求めている人。
出会ってしまった 人なり物事なり、魂を揺さぶられるものと出会ってしまい、その存在がパワーの源になっているケース。
「人が好き」
人と関わることが大好き。裏返しで寂しがり屋の一面も。
共感力が高い 周りにモチベートしてくれる人がいて、その人のためなら何事も厭わず進んで行動する、というタイプ。優れたフォロワーです。
「責任感が強い」
自分に与えられた役割に忠実で、どうすればよりよくなるか常に考えているので、他人からも信頼されます。しかし、知らない内にストレスが溜まってしまうことも。
「体力がある」
エネルギーに溢れている人は、やはり健康的です。食事や生活のリズムも整っている人。
じっとしていられない 落ち着きがないとも言いますが、周囲を振り回しながらも、常に変化の起点となるキーパーソン。いわゆる回遊魚タイプもいます。
「ほどよくいい加減」
物事をあまり深く考えず、とにかくやってみよう!というタイプ。失敗してもクヨクヨしません。
「人生の楽しみ方を知っている」
限られた時間に精一杯生命を燃やす事の大切さを知っている覚者のような人。合掌。
まだ他にもありそうですが、ひとまずはこの辺にしておきます。
(金子洋二)
42.「みんなで」は言い訳だ
その昔、日本の村落社会には「村八分」という制度がありました。村の掟や秩序を破ると、その人や家族は村ぐるみで断交し、仲間外れにするという厳しい処分です。なぜ「八分」なのかというと、村の治安に関わる二分の付き合い(火消しと葬式)だけは残すという意味がありました。
とかく日本人は一体感を好みます。みんなが協調することを最高の美徳とし、コミュニティの運営についてもそうした価値観が優先されてきました。意思決定は全会一致が大原則。それに従えない人は除け者にされます。昔の人はそうやって村を守り、まちをつくってきたのでしょう。
その価値観は今でも日本人の中に根強く残り、まちづくりにも影響を及ぼしています。和を尊ぶのはよいことですが、半面、言いたい事を言うのも憚られ、変化に対して消極的になるという弊害もあります。
また、現代のコミュニティは複雑化・大規模化をしていますので、昔のように顔の見える関係ではありません。よくわからない同士で全会一致を目指していたら、意思決定にすごく時間がかかるか、当たり障りのない中途半端な結論しか採用されなくなるでしょう。
実際のまちづくりの現場では、「みんなで」という錦の御旗の下、思い切った決断ができなかったり、優れたアイディアが日の目を見なかったりする場面にしばしば遭遇します。そうした空気がエスカレートすると、その場が丸く収まることだけに気をとられ、時代の変化や危機への対応に目がいかなくなります。そこに出てくる「みんなで」は、面倒なことを先送りするための言い訳にしか聞こえません。
村八分の時代はとうの昔に過ぎ去りました。和を重んじるだけでは未来は拓かれません。思いを持った人が次々と一歩を踏み出し、賛同する人には何らかの役割が与えられる一方で、傍観する人がいても大いに結構ですし、反対する人も敵にしない。今の時代、そんな村づくり・まちづくりが必要なのではないでしょうか。
(金子洋二)
43.地域の人々は最初のフォロアーを見ている
最初は一人ではじめた取り組みであっても、それが共感を呼び、賛同・参画・参加の輪が広がっていくと、地域としての取り組みになり、それがまちづくりとなります。
「早く行きたければ一人で行け、遠くへ行きたければみんなで行け」
(If you want to go fast, go alone. If you want to go far, go together.)
一人だと目的地に早く着くことはできる。しかし、仲間と一緒ならもっと遠くまで行くことができる。個人の限界を突破する仲間の存在の大切さを説いた、有名なアフリカの諺です。
仲間の大切さについては誰もが理解するところですが、それでは仲間を増やすにはどうしたらいいのでしょうか?
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