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麦秋至(むぎのときいたる)|七十二候

麦の穂が実り始める頃。刈り取りを待つ麦畑は、一面黄金色に輝きます。収穫期を迎えたこの時期を「麦の秋・麦秋 (ばくしゅう)」といいます。「秋」は実りの季節を表し、旧暦4月の異名にもなっています。

駒の湯に嫁ぐ前、
新鹿沼の保育園で
4カ月ほど住み込みで働いていました。
ちょうどこの麦秋の頃です。

周りは一面の麦畑。
その麦畑の中にぽつんとある保育園でした。

東京下町育ちの私は
親元を離れて暮らすのも初めてなら
麦畑というものを見るのも初めて。

黄金色の麦畑を朱く染めながら
夕日が水平線に沈んでいく。
水平線に沈む夕日など見たこともなかったので
感動しました。

・・・・・・。

と、それは今だから言えることであって
当時は、ホームシックとカルチャーショックで
淋しくて淋しくて。
ひとりで生活するというのは
こんなに淋しいものなかのかと
心底こたえましたね。

そんな私を心配してか、
私に逢いたかったのか(⁉︎)
当時、既に婚約していた夫が
片道10時間、
車を飛ばして逢いに来てくれました。
そして3時間ほどいて、
また10時間かけて戻っていく。

その頃は、そこまで深く考えていませんでしたが、もし夫との逢瀬がなかったから、きっと精神的に病んでいたことでしょうね。

その後、結婚してそれなりいろいろなことがあったとしても、別れるという文字が浮かばなかったのは、もうあのひとりの淋しさは二度と味わいたくないと思っていたからだと思います。

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麦は芽が出てきた時、
踏みつけることによって
強く丈夫な麦が育ちます。
踏めば踏むほど強くなります。

この麦踏みは
まさに陰陽転化だなぁと思います。

陰陽転化とは
一定の条件下で、
陽が陰に、陰が陽に
質的に変化すること
陰極まれば陽となり
陽極まれば陰となる。

どんなことも
その一方を極めると
もう一方に転じる。

麦も踏まれて踏まれて
この辛い経験、陰が極まり、
生命力溢れる陽に転じる。
そんな気がするのです。

太極図

太極図は
この陰陽転化の思想を見事に表しています。
下の陰(黒色)の部分が徐々に膨らんで
陰が極まると、陽(白色)に転じるのです。

私はこの陰陽転化の考え方がとても好きです。

どんなに今辛くても、
どん底だ、これ以上の陰、底ははない、
そう思っていても、
必ず陰陽転化する。
そう思うと救われます。

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今、あれだけひとりは嫌だっといっていたのに
気が付いたら一人暮らしです。

淋しい。
やっぱり淋しいとは思います。

でも気功のおかげで
陰陽転化を
心から信じられるようになったので、
昔のように
ただただ淋しいだけの淋しさではなく、
どこかに明るさがある淋しさな気がします。

でも踏みつけちゃ嫌よ。

秘湯と気功に感謝を込めて。