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渋谷区議会_令和元年第3定例会_コミュニティスクールについて

渋谷区では現在(2019年9月段階)、全ての小中学校がコミュニティスクール化されています。
これからのVUCA【Volatility(変動性・不安定さ)、Uncertainty(不確実性・不確定さ)、Complexity(複雑性)、Ambiguity(曖昧性・不明確さ)】な社会かつ人生100年時代というなかで、子どもたちにどのような経験をして、どのような力をつけていってもらうのか?とても重要な課題です。
一方で、学校は先生方の業務多忙化や教員不足で疲弊している状況です。

学校や家庭だけで、子どもたちの無限大の可能性を育む環境を作るのは難しいと考えられますし、だからこそ地域の力を合わせていくことが重要になっています。

渋谷区という地域にはたくさん、魅力的な大人たちが集っています。企業などもIT産業を中心に、日本屈指の企業や面白いベンチャー企業もたくさんあります。

そういった力を子どもたちの未来を創る環境につなげられないか?
ということを実現したく、議員という役割であれば、民間と地域と学校をつなげる動きが出来るのではなかろうかということで、キャリアチェンジした背景もありました。



コミュニティスクールとは、「学校と地域で学びの未来」を作ろうという取り組みで、クロスセクターで学校と地域が一緒になって、学校経営をしていこうという取り組みです。

機能すれば、かなり素晴らしい仕組みなのですが、
多くの自治体で、まだまだ機能しきれていないのが現状で、渋谷区の多くのコミュニティスクールも、学校長の発信する学校経営方針や活動について承認し、相互の連絡活動にとどまっています。

そのような中で、設置第1号の松濤中学校のコミュニティスクールの仕組みを教えてもらったところ、大変進んだものになっていました。

学校運営協議会に、学校支援本部が実行部隊として併設されており、さらには活動支援をするための資金を、育英基金で集め、運用しています。

また、コミュニティスクールの運営に力を入れている品川区でも、学校運営協議会にあたる校区教育協働委員会に併設して、学校支援地域本部が設置され、その間を地域コーディネーターが連携しています。地域コーディネーターのデスクを職員室に設け、教員とのコミュニケーションをしっかりとれる体制を作っています。

渋谷区のコミュニティスクールを、有機的な仕組みにできるように下記5点を質問しました。議会動画(「発言内容」のリンクにあります↓↓↓)では、32分頃からの質問になります。答弁は1時間たったあたりからです。

【質問①】 学校運営協議会の予算について学校運営協議会が承認や連絡会としての役割にとどまることなく、意思決定機関として機能するため、シブヤを笑顔にする会が提案してきた裁量予算を実現していただいたことは高く評価いたします。ただ、今年度1校あたり20万円に設定されていますが、各校の課題は一律ではありません。学校運営協議会の提案内容に応じて増額できる仕組みにすればコミュニティスクールも活性化すると考えます。教育長の所見を伺います。

【教育長答弁①】
教育委員会では、地域と学校がともに企画した学校支援の取り組みを実現するために裁量予算を組んでいます。例えば、異学年交流の際にめんこ遊びやあやとりなどの昔遊びを行ったり、体育の授業で現役のダンサーから指導を受けるなど、豊かな遊びや体験につながっています。
増額の仕組みに関しては、時期・評価基準などを含めて検討します。

【質問②】コミュニティスクールの方向性について
渋谷区のコミュニティスクールとしての目指すべき方向性を教育委員会として提示し、「学校支援本部」の設置や、予算をねん出する育英基金などの設置について、各学校と議論いただきたいと思います。教育長の見解をお聞かせください。

【教育長答弁②】
大きな方針として、今年度コミュニティスクール推進も方向性の大きな一つです。地域の教育力を活用した、社会に開かれた教育課程の理念は共有し、信頼関係に基づく学校支援体制を確立することも方針の一つ。今後、学校運営協議会・地域学校協働本部・地域コーディネーターなどコミュニティスクールに関わる取り組みについて、その目的と役割を明記し、策定します。
教育委員会としては、学校支援本部としての「地域学校協働本部」がコミュニティスクールとともに学校の地域活動における車の両輪になると考えて、既に設置の検討を進めています。
今後、先行して取り組む地域を設定して、「地域学校協働本部」の設立準備を進め、将来的には拡大を図っていきます。資金確保は国や都の補助を活用しながら、地域に合った多様な支援方法を検討していきます。

【質問③】地域コーディネーターについて
地域コーディネーターに関して、区の臨時職員としての設置、職員室へのデスク設置を検討いただけないでしょうか。学校のカリキュラムや行事、運営協議会での決定事項を踏まえ、「学校支援本部」のマネジメントをするという、時間のかかる活動になります。地域コーディネーター同士の情報交換や合同研修、学校との物理的な連携も必要です。現在の各学校における地域コーディネーターの活動状況と、今後の地域コーディネーターに対する費用の予算化や活動支援について、教育長の所見をお伺いします。

【教育長答弁③】
地域コーディネーターの活動は、コミュニティスクールを活性化する重要な要素の一つと考えています。
地域コーディネーターの活動状況については、キャリア教育の一環として社会の第一線で働いている方々を招いた出前授業を神宮前小学校で実施したり、卒業生や地域の方々も参画した校内緑化活動を松濤中学校で実施するなどを行っています。教育委員会の活動支援として、地域コーディネーターを含む、学校運営協議会の委員を対象に研修会を実施しました。
また今年度から他校の学校運営協議会を見学し、情報共有をしやすくするため、開催日一覧を各校に共有しています。地域コーディネーターに対する費用の予算化と活動支援については、今後、地域学校協働本部を整備していくなかで、検討してまいります。

【質問④】ボランティアへの研修について
今年度より、シブヤ科ということでシティプライドを醸成する取り組みが施行されています。地域にいらっしゃる元教員の方が取りまとめ、渋谷区で活動する社会人とプロジェクトチームを作り、担任団 とともにプログラムの設計や授業運営を行っているようです。その際、ボランティアファシリテーターに授業を一緒に行ってもらうためには、指導案を踏まえたファシリテーション技術を身につけてもらうための研修が必要であると、プロジェクトをサポートされた方々から要望が出ていました。
例えば、S-SAP協定を結んでいる青山学院大学では、社会情報学部でワークショップデザイナー育成プログラムを実施されています。プログラムを渋谷区の小・中学生を支援するボランティア向けの簡易的な講座を設計いただくなども検討できるのではないかと考えます。学校に関わっていただくボランティアへの研修の設置を教育委員会でまとめて実施することに対して、教育長はいかがお考えでしょうか。所見をお聞かせください。 

【教育長答弁④】
小・中学生を支援するボランティアが、授業の指導案を踏まえたファシリテーション技術を身に付けてもらうことは、授業を進める上で大切なことと認識しています。今後、教育委員会では、学校を支援するボランティア向けの手引きの作成や、講師を招きファシリテーターとしての技術等の習得を目的とした研修の実施などについて検討してまいります。

【質問⑤】統括コーディネーターについて
今年度予算化された統括コーディネーターについてです。夏休みの放課後クラブの活動プログラム充実のため、コンテンツ提供などを行ったと聞いています。どのようなコンテンツが実施され、放課後クラブの事業者や子どもたちの反応はいかがでしたでしょうか。教育長の所見をお聞かせください。
また、次年度へ向けては、どのような運用を検討しているか、前出した学校設置の地域コーディネーターとの連携を行うのか、有料のコンテンツについては予算化するのか、統括コーディネーターから上がっている現時点での困りごとなど、併せてお教えください。

【教育長答弁⑤】
統括コーディネーターの準備した夏季休業期間のプログラム実施状況ですが、民間企業9社の協力を得て、リサイクルや色彩を学びながらの工作、うどん作り体験など多様な体験活動を行いました。参加した児童は興味をもって話を聞き、また、積極的に取り組む姿もあり、楽しく活動していました。次年度に向け、教育委員会では、統括コーディネーターとともに今回実施したプログラムの振り返りを行うなかで課題を整理し、地域コーディネーターの連携も含め、検討してまいります。有料のコンテンツについては、今後、保護者等への意向調査によりニーズを把握し、検討を進めてまいります。

※最後、5点目は放課後クラブの流れで質問していますが、案件としてはコミュニティスクールにかかってくるのでこちらで紹介。

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