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【メイド写真集】前日譚
※写真も含め、本稿は写真集本編には含まれません。
* * *
何かを待つ時間が好きだ。
紅茶の茶葉を開く待つ時間。ご主人様のお戻りを待つ時間。
数分、数時間、やがてくるその瞬間への期待も不安もひっくるめ、
その先の未来を描くような時間には、愛おしさがある。
![](https://assets.st-note.com/img/1653480185289-6vik9iWJKT.jpg?width=800)
「軽食の準備ができました、ご主人様」
給仕は久しぶりだ。紅茶を淹れるより、帳簿を付ける方が向いているのは自分でもわかっている。
「ありがとう。ちょうど完成したんだ、次の展覧会用のデザイン。
きっと脚のラインが綺麗に出て美しいシルエットになる」
「流れるような全円の長い裾が素敵ですね。最近お給仕係になったすらりと背の高い彼女に似合いそうです」
「君にも似合うと思うけれど」
「ありがたいお言葉。ですが、私はこの1着を大切に着ます。
ご主人様からは、もう十分すぎるほどいただいています。
どうぞ、他の者にも袖を通す喜びをお与えくださいませ。」
「そうか。でも、来月の展覧会の同行はお願いするからね。」
うなづくこともなく微笑む、自分の言葉に偽りはない。
なのに、胸が苦しい。
私は初めて、ご主人様に背くことになる。
明朝、ここを発つと決めている。
黙って微笑んだまま、ただ貴方への感謝を胸に抱くこの時間を。
ただここにいることを、ご主人様、どうかお許しください―。
![](https://assets.st-note.com/img/1653559780301-tdXaSd9YWv.jpg?width=800)
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以上、6/5 メイド博に出す写真集の前日譚でした。
楽しみすぎて、追加で執筆しました
写真も含め、本稿は写真集本編には含まれません。
収録したショートストーリーの一部はこちら
本編収録写真のサンプルはこちら
東京メイド博覧会 I-4 Risbaco サークル出展
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