【三女神写真集】スピンオフショートストーリー
はじめに
三女神併せの写真集刊行を祝して、ショートストーリーを書きました
上記記事で書いた通り、「撮影者側での掲載歓迎!」「掲載前の事前確認も、加工も不要です!」「写真集も歓迎、購入するし、ブースのお手伝いもします!」と公言していても、なかなか撮影者側で使っていただける機会がなかったので、感謝と喜びが独り歩きしまして…。
なお、三女神のコンセプトは下記の記事以上のものはありません。
衣装や撮影いただいた素敵な写真をもとに、私が想像を膨らませたもので、独自設定&解釈です。ご了承の上、よろしければお読みください!
* * *
見る、聴く、奏でる―それぞれを司る三人の女神たち。
三人の中でも、「聴く女神」は異質である。
その象徴は、獣の耳と尾。他の女神にはないものだ。
小麦色の肌で、とりわけ小柄、装いも他の2人と共通しつつも、あしらわれた獣の毛皮はその雰囲気を異にしている。
装束のもつ雰囲気と小柄さも手伝って、一見幼く見えるが実は女神たちの中で最年長である。
その印象には振舞いも大いに関係している。
興味のままにあちこち自由に動き、興味を失えばすっと隠れてしまう。
目を輝かせて楽しんでいたかと思えば、次の瞬間には関心も表情も失っている。
他の女神のもつ荘厳な印象とは、少し違っている。
どちらかというと、耳や尾に現れる獣の気ままさ、自由さが目につく。
身の丈の半分はあろうかという杖の先に、世界のあらゆる音を集め聴く女神―。
鳥のさえずりや、風の音、よせてはひく波の音、川のせせらぎ、雨音。
自然の音だけではない。
祝福の音楽も、戦場の砲撃も、名も知らぬ歌も、誰かの叫びも、喜びの声も、悲鳴も、嬌声も、銃声も、祈りも、嘘も、全てが彼女の関心の対象であり、そしてただ聞くのみである
そして何を聞いても、彼女は動かない
ただ黙って聞いている
発した音の先にあるものは、発するまでどうなるか誰にもわからない
そして発した者が責任をもつと知っている
宣戦布告も、愛の告白も
どうなろうと、音のその先は彼女の興味の対象外だ
だから、今日も新たな音を集めるのだ。
しかし彼女は知っている
誰かが聞いてくれることの心強さを
誰かに聞かれているかもしれないことへの畏怖を
退屈を嫌う彼女は自らを退屈させない術を持っている
絶大な好奇心が彼女の原動力
”―さあ、世界は今日なにを聴かせてくれるのかしら?”
―Fin―
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