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メイド写真集進捗と告知

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2022/6/5 メイド博覧会で頒布するCombat Maid写真集の製作過程を紹介します 私にとって初めての紙媒体の写真集です
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#小説

【メイド写真集】プロローグの続き

※本稿は分量の都合でカットしたプロローグ「或る美しきメイドの話」の続きです。写真集には含まれません。 * * * 「浮かない顔をしているね。緊張しているの?」 「いえ、少し考え事をしていました。申し訳ありません。これから大事な展覧会だというのに…」 「それは―」 はっとして、胸元のネックレスに触れていた手を放す。お辛いのはご主人様の方だ。 「華麗に着こなして見せます。お任せください」 「よく似合っているよ。僕が見立てた通りだ」 主人とメイドを乗せた馬車は、冬の街並みを駆

【メイド写真集】前日譚

※写真も含め、本稿は写真集本編には含まれません。 * * * 何かを待つ時間が好きだ。 紅茶の茶葉を開く待つ時間。ご主人様のお戻りを待つ時間。 数分、数時間、やがてくるその瞬間への期待も不安もひっくるめ、 その先の未来を描くような時間には、愛おしさがある。 「軽食の準備ができました、ご主人様」 給仕は久しぶりだ。紅茶を淹れるより、帳簿を付ける方が向いているのは自分でもわかっている。 「ありがとう。ちょうど完成したんだ、次の展覧会用のデザイン。 きっと脚のラインが

【メイド写真集】プロローグ

prologue ―或る美しきメイドの話― 「本当に、行ってしまうのですか?お姉さま―」 お姉さまといっても、血縁の姉ではない。先にこの屋敷に勤めていた年長のメイドのことだ。 誰より主人を想い、長く仕えてきた彼女がどうして。 答えの代わりに微笑んだ彼女は、手のひらに冷たく光るものを握らせた。 「ご主人様からのネックレス―。こんな大事なもの、持っていていただかなくては!」 『大切だから、手放すの。ごきげんよう』 アシンメトリーのスカートの裾をつまみ、 一礼した彼女は