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浜野佐知『女になれない職業』

『女になれない職業』読了。映画に対する情熱。凄まじいエネルギー。映画『第七官界彷徨』は、何か見えない力に後押しされて実現したのだ。
映画化にあたっての困難は想像を超えていた。同時に映画化実現に寄与した岩美町の人々の尽力も、想像を超えていた。

著者では、徳島で生まれ、静岡で暮らした生い立ちや、少女期の印象的な出来事が綴られている。

また、映画制作に監督として携わりたい一心でピンク映画の制作会社に踏み込んだ話。

せっかくなので(?)浜野監督のピンク映画(人妻系)を1本観てみる。"性を女の手に取り戻す"ポリシーに通じる。

冒頭から構成が面白く、途中声に出して笑う。最後にどんでん返しがあり、女の掌中にいる観客=私。

私は映画の中のキャリアウーマンでもある。これは、女が観る前提の映画なのだけど、女がピンク映画に触れる機会は私の周りでは皆無だ。が、こんなに面白いものを知らずにいるのは勿体ない。

何しろピンク映画自体、観たことがないので他と比べようもないのだが、「こんなに面白いならもっと観たい!」と一人で小躍りするような発見だった。

海外の映画祭で、女性監督同士が交差し連帯しながらも、それぞれの表現を突き進んでいく姿が胸に刺さった。

かつては女になれない職業があった。
今も昔も、女にしかできない仕事(作品)がある。

女のための作品を私もいつか作ることができたら、と願う。


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