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ポリファーマシーのこと:お薬を減らしてみよう

もう数年経つでしょうか、いつ頃からかポリファーマシーなる言葉が出て、「薬を減らそう」という声が大きくなってきています。


誤解を恐れずいえば、日本人はそういう言葉に流されやすいと思っていて、昔はなんでも薬という風潮が強かったのが、最近ではすっかり「薬を減らしたい」という声を多く聞くように思えます。本当に必要な薬までも減らしたいと。


さて、ポリファーマシーの何が問題なのでしょうか。


ある研究によると、「5種類」以上の薬で、高齢者の場合の転倒リスクが2、3倍も高くなったというものがあるようです。翻って私の場合、多くは薬は最小限ですが、一部では余裕で5種類を超えている方もいます。しかし、決して転倒リスクが高くなっていることはなくて、むしろADL(歩行とか)が良くなっていることが多いです。(この話はまた別の機会として)


話は減薬に戻します。
ここ2、3年、「薬を減らしたい」という理由で私の外来を受診する方がぽつりぽつりと増えてきている印象です。なぜ私かというと「老年内科」を標榜しているからのようです。老年内科=減薬という風にお考えの方がいらっしゃるということですね。


私の減薬の方法をご説明しますね。
一言で申せば、現在の不調を丁寧に聞いた上で、絶対に否定できる薬を除いて「思い切って減らす」ということです。これに尽きます。もちろん、突然の断薬が危険なものもありますので、それだけは注意ですが、それを除けば「思い切って減らす」です。


お薬の教科書には「副作用」が書いてあります。ここに記載がないからといって、目の前で起きている不調の原因ではないと言い切れないと考えることもポイントです。と言いますのも「相互作用」があり得るからです。要するに薬と薬の飲み合わせですね。私も、これまで何度も痛い目にあってきています。ですので、薬の教科書に書いていいなからと言って否定しないことを決めていて、薬の副作用はなんでもありえると肝に銘じています。
まとめると、

・教科書を鵜呑みにしない
・その上で思い切って減らす
・ただし、突然断薬してまずいものはゆっくり減らす

ということです。
あとひとつ大切にしていることです。


減薬して不調が増した場合の対処法をあらかじめ伝えておくのは非常に重要です。私は、その場合はすかさざ元の薬に戻すようにと説明しています。
どうぞご参考までに。

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