見出し画像

[スリー・ビルボード] "Three Billboards Outside Ebbing, Missouri"(2018)

素晴らしかった。脚本が巧みで、ものすごく面白い。
アメリカ・ミズーリ州の寂れた田舎町、寂れた道にそびえる3枚の立て看板。その町で暮らす3人の登場人物。看板、人、その表と裏。

人は何かに触れるとき、得られた情報から想像してイメージを作り上げる。点と点を繋げたがる。例えば二つの丸とその下に弧があれば人の顔のようだと認識するように。ある要素を材料に、ない要素は補って、出来上がるのが先入観だ。
この映画を観ていると、次々とその先入観が裏切られていく。「この人はこんな人なのだろう」と思った5分後には正反対の感情を抱いている。さっきまで感情移入をしようと思っていた人物のことを大嫌いになる。とんでもないヤツだと思っていた人物が愛おしくなる。揺さぶられて、ヒリヒリする。怒りや憎しみ、虚しさ、やるせなさ、慈しみ。ワクワクではないけれど、どこへ連れて行かれるのかわからない2時間。
チグハグやすれ違いが続いていく。3人の"テーマソング"にも違和感を抱く。良いヤツなの?悪いヤツなの?なんて想像すること自体がナンセンスか。そもそも、そんな風に単純に二分出来るものではないのだから、人間なんて。
多分何度か観た方が味わえる映画だろうなぁ。
"Anger begets greater anger.”

ところでディクソンが広告社に乗り込むシーンって、1テイクでしたよね?痺れた。臨場感あふれる画作りで息をつかせぬ展開に、思わず変な声出ました。

マクドナー監督の作品だと「セブン・サイコパス」は観たんだけど、圧倒的に今作の方がすごかったな…あれも最高にアレで面白かったけど。サム・ロックウェルはマクドナーの「ミューズ枠」ですね!ジャンルで言うなら、バイオレンスコメディとでもいうのか…北野武監督のファンなんですってね。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?