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やる気のない人が読む記事

 やる気がでない。そうだろう? おそらくその原因は、周囲に快楽コンテンツが溢れていて、それを浴びているからだ。これらの快楽に晒され中毒となり、人はその快楽を得るための奴隷となる。快楽の多くはほぼ無料で手に入る。したがって、人々は快楽をより多く得るために「時間」を必要としだす。時間さえあれば快楽をいつまでも浴びることができるからだ。そのため人は、暇さえあればスマホを触ったり、すぐに家に帰りたがったりする。休日も家から出ず、もし働かなくても快楽が得られるなら、ひきこもることだろう。

 そもそも、この状態の問題点はなんだろうか? 快楽を浴びていて、個人がそれに満足しているならば、それでいいのではないだろうか? いや、社会的・健康的によくないのはもちろんだが、何より虚しい。なぜなら、長期の目標の達成による充実感・満足感を得られないからだ。この充足感は短期の目標よりも深く長期的に自身を満足させる、良いものだ。しかし、これを得るには少なからず短期的な快楽を犠牲にする必要がある。それでも初めはドーパミンが出て、やる気があるかもしれない。しかし、ずっと短期的な快楽がないと、すぐ飽きてしまったりするわけだ。これには工夫して対処する必要がある。

 長期的な快楽を得るためのプロセスを続ける方法を考えよう。有効なのは、そのプロセスを細切りにして短い快楽を設定すること、プロセス自体を楽しめるものにすること、そしてプロセスを習慣化することだ。

 まず、プロセスを細切りにして短い快楽を設定すること。これは「飽き」を抑制することができる。先が見えずにやっていても、人は頑張れない。短いゴールを指定してあげて、その達成感を快楽とする。するとそのうち作業と快楽が結びついて、頑張れるようになるはずだ。そのためには、その達成感を強めるための工夫が必要だ。意識的に成功を祝う(例:ポジティブな言葉で自分を褒める)、進捗の可視化(例:進んだ分をマークして壁に貼る)、仲間との共有(例:友人に報告して褒めてもらう)、明確な目標設定(例:30分以内に作業を終わらせる)などがある。また別の方法として、達成時に「報酬」を用意して、達成感とドーパミンを結びつけるという手もある。だがこれはデメリットも多い。それは達成感が報酬に依存することで、報酬の価値が下がったり、報酬がない場合に達成感が得られなかったり、欲に負けて先に報酬だけを得て満足してしまうからだ。できれば「達成感」自体を強化することに努めたい。それが自己効力感を育て、モチベーションの原動力になるからだ。

 またプロセス自体を楽しむというのは、それ自体が快楽になるので理想的だ。まあ、続けるとこでその快楽に慣れてしまい、飽きてしまう可能性もあるので、快楽のグラデーションは依然必要だが。さて、プロセス自体を楽しむための工夫は何があるだろうか? 興味を取り入れる(例:好きな音楽を聴きながら作業するなど)、新しい知識を得る(例:作業で得た知識をメモするなど)、創造性のある内容にする(例:作業で得た知識をアウトプットするなど)、ゲーミフィケーションする(例:時間制限を設けるなど)、バラエティのある作業をする(例:時間によって別の科目に取り掛かるなど)、仲間と一緒に作業する(例:勉強会を開くなど)——といったところかな。

 そしてプロセスを習慣化することだ。これはよく「三週間続けると習慣になる」などと言われる。習慣化するための工夫もしたほうがいい。これにはとにかく心理的抵抗を下げることにフォーカスする必要がある。方法は次の通りだ——小さなスタートにする(例:本を開くだけなど)、始めやすい環境の整備(例:前日に運動着を用意するなど)、トリガーの設定(例:起床をトリガーとして散歩するなど)、習慣の連鎖(例:ジョギング後に瞑想後するなど)。

 さて、長期的な目標を達成するためのTipsを挙げたが、それには現在依存している快楽を減らして時間を作らなくてはいけない。いわゆる、ドーパミン・ファスティングだ。ドーパミンを抑制しないと、その行為が時間を食い尽くしてしまうし、その行為によって満足してモチベーションがなくなってしまう。ではどうするべきか? これは先ほどとは逆に心理的抵抗を上げるといい——遠いスタートにする(例:スマホを遠くに置く)、代替行動を設定する(例:動画視聴の代わりに音楽を聴く)、依存を促す環境の変更(例:テレビの前ではなく公園でリラックスする)、トリガーを消す(例:スマホの通知をサイレントにする)。

 これらを複合的に組み合わせて、長期的な目標に取り組むのだ。みんな始めている。さあ、今すぐに始めよう! …………と、言ってもやれない人がいる。なぜなら脳がやらない理由を考えるからだ。脳は常に安定を求めていて、不安定な状態を嫌うからだ。ではどうするべきか? 言い訳を考えないことだ。あらゆる物事にはメリットと同時にデメリットもある。デメリットにフォーカスしてやらない癖がついているんだ、行動力のない人間は。その状態は認知が歪んでいるともいえるが、本人は気づいていない。なので、客観的に自分を観察しなくてはいけない。日記や瞑想で内省を行い、自己認識を高めてやる必要がある。自分の心の声に耳をすませ、楽をして自滅しようとする無意識の本能を押し留めなければならない。そうやって自分を取り戻さなければ、人はいつまでも無意識の奴隷のままなんだ。

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