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【東大生インタビュー】捨てる決断をする事で大学生活の視界が開けた話

皆さんこんにちは。Campusful運営の光山(こうやま)です。

このnoteは、大学生の皆さんを対象に、少し先を行く先輩方が「あの時知りたかったこと」を経験談を交えながらお伝えしていくメディアです。

現役大学生の方のインタビュー記事を定期的にお届けしていきます。皆さんの大学生活のお悩みやちょっとした疑問への解答や参考になれば嬉しいです。

今回インタビューに応じてくださったのは、東京大学医学部医学科6年(取材当時)の内山咲良さんです。

日本最難関の東大医学部で学ぶ傍ら、部活動の陸上ではインカレの三段跳びで優勝されるという、これ以上ないレベルで文武両道を実践されている内山さん。
そんな順風満帆に見える彼女の学生生活にも、真面目でチャレンジ精神旺盛な性格ゆえ、学業と課外活動の両立に悩んだ時期があったようです。

  • 時間不足に陥った時、どのように考え、行動したのか

  • コロナ禍の学生生活の過ごし方

など、現役大学生の皆さんの参考になりそうなお話を沢山お聞きすることができました。
「少し先をゆく先輩」の生の声、ぜひご覧ください!

ーはたから見るとスーパーマンのようなご活躍をされているようにお見受けします。時系列でぜひお話を聞かせてください。どのような高校生だったのでしょうか?

高校時代は様々なことに挑戦しました。勉強はもちろんですが、部活ではインターハイに出場できましたし、生徒会もやっていました。また、韓国への留学も経験しました。
当時は「やりたいことは努力すれば全て実現できる」という感覚があったように思います

ーとんでもない高校生ですね。東大の理科Ⅲ類に進学された後は、まずどのようなお考えを持って大学生活を始められましたか?

陸上は続けようと決めていました。高校時代はインターハイに出場したものの不完全燃焼な部分もあり、大学ではもう一度陸上に向き合おうと決心しました。
医学部(理科Ⅲ類)は鉄門と呼ばれる、医学部の学生だけが入部できる部活があるのですが、私は鉄門にも入部しつつ、全学生対象(全学)の陸上部の方からお誘い頂いたこともあり、全学の運動会陸上部にも入りました。全学にも入部した背景には、「高いレベルで試合をしたい、インカレに出たい」という思いもありました。(編集部注:鉄門はインカレの出場資格はない。)

授業は高校時代とは異なり選択制になります。こちらもかなり詰め込みました。授業が1セメスター通じてある場合には約15個の授業を履修するのが上限ですが、東大の場合さらに別の枠として一定以上の英語力がある生徒を対象にした第2外国語を学ぶクラスがあり、語学にも興味があったためフランス語を履修しました。上限まで授業を取った上でフランス語の授業が3コマ増えた形になります。

さらに部活動と授業に加えて、アルバイトも週1日の頻度で塾講師を始めました。

ー1年生の時から非常に活動的ですね。両立で困ったりはしなかったのでしょうか?

正直パンク状態でした。
これまでの人生で初めて「自分の時間が足りない」という感覚を覚えました。

授業では疲労のあまり寝てしまうこともありました。試験前に追い込んで単位は取れるものの、本質的な理解には到達できず、もどかしい思いを抱くこともありました。

部活動は当然体力的にキツいですし、塾講師のアルバイトにしても、拘束時間がとても長いというわけではないのですが、授業準備や採点業務でも時間を取られてしまい、想定以上に時間が必要でした。

1年生の時はとにかく忙しかった、という記憶が一番先に蘇ってきます。

ー内山さんのような方でも両立の壁に突き当たるのは意外でした。高校時代より自分の裁量でできることが多い分、時間不足に陥りやすいということでしょうか。その際、どのように考え、次の行動に移られたのでしょうか?

高校時代は「登るべき山=難しい課題」が目の前にはっきりと見えていたので、それを目指すことができました。「高い山」があるから登ってみよう、という感覚でした。
韓国留学にしても、語学に興味があったということももちろんありますが、留学自体が挑戦しがいがあることだったのでチャレンジしたかった、という気持ちも大きかったです。

同じ姿勢で大学生活に突入したところ、お話したように時間不足に陥ってしまいました。
そこで初めて「自分は何をしたいんだろう」ということを真剣に考えるようになり、そこから生活が整理されていきました。
何かを捨てる必要があると、これまでの人生で初めて感じた瞬間です。

そして、そのように内省をしたとき、最も大事にしたい活動は陸上であると気がつき、陸上を生活の中心に据えようと決めました。

一度そう決めると、それ以外の生活は部活動に干渉しない範囲に留めるように、整理してきました。
まず、アルバイトは融通が効くところに変えました。また、学業面も、授業や正規のテストは大事にしましたが、それ以上に研究室に行ったりといった活動は自分のキャパシティを超えないか、あるいは本当に興味があるのかを見極めて、むやみに手を出さないように注意しました。

自分の中で優先順位を明確にし、不用意に様々な活動に手を出さないことをとにかく心がけました。
それまで何かを途中でやめたことがほとんどなかったので、かなり勇気の必要な意思決定でした。ですが、一部を捨てるという決断をしたことで、精神的な負担は大幅に軽減されました。

ー全方位ではなく陸上を中心に据える、というご決断をされたのですね。勇気が要ることだったかと思いますが、良い方向に作用して良かったです。ご決断はお1人でされましたか?それとも誰かに相談しましたか?

一部は友人や家族に相談することもありましたが、基本的には全て自分で納得がいくまで考え、決断しました。
考えに考え抜いたとき、視界が開けてくる感覚がありました。

ー2年生で生活を見直されたあと、3年生になるとキャンパスが駒場キャンパスから本郷キャンパスに変わり、専門過程の講義も始まります。その環境の変化は問題なかったでしょうか?

3年生になると医学部の実習なども始まり、学業の方が忙しくなりました。
実習は自分の頑張りや工夫次第で早く終わらせることができます。とはいえ、実習では班の人がいると自分の都合のみではいかなかったり、レポートなども自分が納得いくところまでつきつめて書こうとすると時間が足りなくなったりします。なんとかその辺りのバランスを取ってやりくりをしていた、というのが本音です。

ですが、平日は部活より講義を優先させて良いことになっていたので、その点は助かりました。
団体競技だとそうはいかないはずですので、これは個人競技ならではのメリットだと思います。

4年生になると2週間に1回試験がある形式になり、それは今思い返しても大変でした。

やはり学業との両立では常に一定の苦労はあります。ですが、2年生で「陸上を納得がいくまで頑張る」と決断したことで、1年生の時のようにパンクしてしまうことはなく、踏ん張ることができました
目標だったインカレに出場し、また三段跳びで優勝できたことは本当に嬉しかったですし、今までの努力が報われた瞬間だと思います。

ーコロナ禍の学生生活はいかがでしたか?

大会もコロナ禍で開催が見送りになったので土日が潰れることもなくなり、在宅の時間が増えました。
医学部の同窓会の仕事もしていましたが、それを含めても時間に余裕が生まれたので、助けられた一面もあります。

ただ、やはり友達と会えなかったり、実習がオンラインでの開催になったりなど、色々と心細い思いはしていました。その点に関しては「失われてしまった」という感覚は正直あります。

6年生になると就活(研修医先の病院選び)が始まります。直接見学させて頂きたいと考えていましたが、果たして病院側/大学側の双方から見学を許可して頂けるのか、始まるまで不安がありました。

幸い対面で見学させて頂けて一安心ではありましたが、本来であればそのような心配は無用だったはずなので、多少なりともストレスは感じていたように思います。
就活でも同期と話す機会がなかなか得られず、一人で意思決定をしていかなければならない状況でした。

一方で、徐々にコロナ禍での生活に慣れていったようにも思います。
zoom飲みをしたり、zoom勉強会をしたりなど、zoomを活用して在宅でもなるべくコミュニケーションが取れるようなことを色々と試しました。

ー最後に、現役大学生の皆さんにメッセージをお願いします。

私自身の大学生活は、何かを捨てる決断をしたことで、結果的に陸上でも自分が納得できるような結果を残す事ができ、学業も捨てずにやりきることができました。でも、このような決断ができたのは、最初に色々やってみて失敗した経験があったからだと思っています。COVID-19感染症の流行もあり、現役大学生の皆様は不安になったり、本来できたであろうことができないもどかしさを感じていることもあるかと思います。それでも、ぜひチャンスがあればいろいろなことに挑戦して、悔いのない大学生活を送ってほしいと思います。
そして、どうしても辛いと思ったら、逃げる勇気を持っていてください。学生時代は、ある程度守られながら失敗できる貴重な時期だと思います。他人のためでなく、自分が納得行くような選択をしてほしいと思います。

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